マッスル坂井トークショー@早稲田祭 08.11.2



早稲田祭の公式サイトにも載ってなかったマッスル坂井の講演会。大隈講堂前まで行くとこのチラシが貼ってあったので、あるのは本当らしい。
拡大「日本を代表するクリエイティブディレクター箭肉道彦が、自分探しを続ける若い世代に向けて、プロレス業界のTop Runnerマッスル坂井を招いて、生の声をお届けします。【出演】MC 箭肉道彦(クリエイティブディレクター)、SHIHO.(シホドット) ゲスト マッスル坂井」とある。
ちなみに箭内(やない)道彦の出演するイベントも11/3にあるらしい。

大隈講堂。

大隈講堂前に看板。

やはり坂井と言えば一般的には徳川綱引なのか?プロレスラーとどこにも書いてない気もするが(しかもこれを持ってた女子学生は最初「マッスル坂田」と言ってた)。

予定より遅れて15時20分開場、会場は地下の大隈小講堂。すぐに開始予定時刻の15時30分に。客席には高木三四郎の姿も。「講堂内での撮影は禁止」というアナウンスがあった(マスコミは可)ので以降写真はありません。

ステージには大きなスクリーン。その前にテーブルとイスが3つ。「No Chance in Hell」が流れ鶴見亜門に激似の箭肉(やにく)道彦がステージに。早稲田の一文出身だそうだ。「バンカラ」という言葉も箭肉が学生時代に考えたコピー、と。
箭肉「学祭はいいよね。アツくて。偽りの熱はすぐわかる。(胸を指して)ここは偽っちゃダメ。」
箭肉「ある作品に出会って、」と「八百長★野郎」を出すと「この本にちりばめられた一文一文に熱を感じた。今度『マッスル牧場classic』というDVDも出るが、これにも熱を感じた。逆に熱しか感じない。」そして坂井を呼び入れる。
「本日のゲスト、早稲田大学二文中退、マッスル坂井さんです。」
坂井は手にDr.Pepperを持ってステージに、と思いきやステージ裏に回る。箭肉は逆から出てくるものと思ってそっちを見てると坂井戻ってきて箭肉の後ろから体当たり。
箭肉「こっちから出てくると思ったのに。」
坂井「動線がわからなかった。それより早稲田の裏を見た。(大隈)重信が生きていた!物凄い数の監視カメラでチェックしてた!」
箭肉「それは内緒にしとくことじゃないか?」
坂井「いや、言わなきゃダメでしょ。あ、初めまして。」
箭肉「初めまして。二文?」
坂井「はい。」
箭肉「俺一文。」
坂井「すいませんでした。」
箭肉「二文ってもうないでしょ?(2007年に第一文学部と第二文学部は統合・再編)そもそも早稲田に必要なかったんじゃ?」
坂井「そんなこと言っていいんですか?」
箭肉「この(客席)中に早稲田生っているの?何年いたんだっけ?俺は2年で中退だけど。」
坂井「7年で中退です。」
箭肉「7年か。二文の7年は一文の2年にも及ばないな。ここにもうひとつイスがあるだろ?」
坂井「あー、もらったリリースによるとSHIHOさんが来るって。」
箭肉「せっかくここにイスあるけどSHIHO.はビデオ撮影のため来れません。SHIHOじゃないよ。SHIHO.シホドット。今日は『絶頂アクメシリーズ』の撮影で。」
坂井「モデルってそっちの方ですか。」
箭肉「ということで2人でやります。」2人並んで座る。
箭肉「まずは自己紹介から。」
坂井「こんにちは。BLANKEY JET CITYのマッスル坂井です。」
箭肉「最初に生い立ちの方から見てみようか。」 ビデオが流れる。坂井の赤ちゃん時代の写真が映されるが、その後は坂井の生い立ちというより実家の坂井精機がやってる金型に関する説明のみ。最後は「後継者不足に悩まされており、このまま後継者が見つからないと40人の従業員と家族が路頭に迷う。」で終わる。
箭肉「早く新潟帰って継いだ方がいいんじゃない?」
坂井「急に心配になりました。もともと祖父が作った工場で、高度成長期に特に電化製品の小型化でどうしても小さい金型が必要になって、技術力の高さが求められたんですね。ウチは技能オリンピックの常連でして。父は『美型倶楽部』を主宰してまして。名前は雄山っていうんですけど。僕も学校行かせてもらえず旋盤、旋盤の毎日でしたよ。母は病気がちで、型が美しくないと父から折檻を受けて、体を壊して・・・今も健在です。ちょっと胃が悪い。」
箭肉「胃くらいみんな悪いよ!じゃあ父親を憎んでたんだ。」
坂井「呪ってました。新潟大工学部に入る宿命だったんですが、金型から逃れたくて。」
箭肉「でも今お前がやってることってさあ、結局型じゃん。何かの型に当てはめる作業だろ。パクリっていうか。」
坂井「そう言われてみれば型を作っていたのかもしれません。」
箭肉「プロレスやることそのものが型、パターン、システムを作ることなんじゃないかな?お父さんに感謝したほうがいいよ。今ありがとうって電話したらどう?」
坂井「いやいや。モノを型、型じゃないで区別してしまうんですよね。人だってそうです。ようは血液型みたいなもんですから。A型、B型、AB型は金型。それ以外は金型じゃない。僕なんか典型的な金型人間。」観客を次々に指差して「型」「型じゃない」と判別する坂井。
箭肉「小学校の時とかどうだったの?」
坂井「漢字は覚えませんでした。日本人がローマ字とかでやってる欧米人に比べてコミュニケーション能力に劣るのは漢字を覚える作業に費やす時間が長いからですよ。漢字覚えるのって一人でやるじゃないですか。僕はあんな時間は無駄だと思ってました。」
箭肉「中学の時は?悪くなったりしなかったの?」
坂井「グレるというより、自分は学生運動にのめり込んでましたね。」
箭肉「いつだよ!」
坂井「新潟市立下山中学校で。90年。クウェート侵攻とかPKO法案とか。」
箭肉「90年安保ね。」
坂井「千代の富士引退とか。反対というより引退ですね。千代の富士いんたーい!って。」
箭肉「駄洒落じゃん。」
坂井「中学生のやることですから。中学生運動。他には副生徒会長やったり。」
箭肉「へー、じゃ成績良かったんだ?」
坂井「小中高とオシッコしていいとこといけないとこの区別ができてなかったですね。」
箭肉「意味がわからない。」
坂井「便所って壁、小便器、壁、小便器ってなってるじゃないですか。どっちにしろ同じように掃除するのに区別するとかそういうルールはいったい誰が決めたんだ!って。僕のバカの壁ですね。」
坂井がDr.Pepper飲もうとする。箭肉「飲食禁止。袖で飲め。和田君(主催者)がひやひやしてるじゃないか。」
坂井カーテンに隠れ「隠れて飲めばいいんでしょ?飲んだか飲んでないかわからないし。」
箭肉「そこまでして飲みたいのかよ!」坂井戻る。
坂井「高校は明訓高校で剣道(なぜか「県道」のイントネーション)部に。」
箭内「有名な。」
坂井「台本によりますと広島カープの小林幹英選手とかが出てますね。」
箭内「剣道部の練習厳しかった?遊べないくらい?」
坂井「練習が厳しくて、サボると権瓶先生が怒るので授業中に遊んでました。」
箭肉「授業はサボっても剣道はサボらない。」
坂井「もう『スラムダンク』みたいな世界で。僕は小暮君みたいな感じで。」
箭肉「その後受験。」
坂井「受験の前に、部を引退するじゃないですか。その後新潟の人は漫画家目指すんですよ。1回夏に。高橋留美子先生や魔夜峰央先生なんかもそうです。」
箭肉「それはその2人だけだろ!」
坂井「『DEATH NOTE』の小幡健先生もですよ。剣道をやってた感動を伝えるには漫画しかないんですよ。」
箭肉「あ、そう。」
坂井「で、当時好きだった『アストロ球団』と『1、2の三四郎』と『柔道部物語』から『アストロ柔道部』ってのを描いて。お尻に畳の痣のあるのが集まるっていう。ビッグコミックスピリッツに持ち込んで。」
箭肉「ほんとに持ち込んだの?」
坂井「努力賞1万円振り込まれました。」
箭肉「なんで漫画家目指さなかったの?」
坂井「通過儀礼みたいなもんですから。その後受験。」
箭肉「なんで早稲田?」
坂井「・・・権威です。」
箭肉「シネマ研究会入ったんだよね?高校の時からそういうの興味あったの?」
坂井「撮ってましたけど、面白くなかった。『スピード』っつって内履きに時限爆弾が仕掛けられてて時速5km以下で歩くと爆発する・・・」
箭肉「今とあんまり変わんないじゃない!結局は型。現役で早稲田だっけ?」
坂井「新潟で一浪しました。代ゼミ。」
箭肉「まじめに勉強した?」
坂井「遊んでました。勉強してれば一文入ってたかも。飛ばしましょうかこんな話?」
箭肉「学生時代の話しないと!でシネマ研究会。映画撮るサークルなんだよね?撮った?」
坂井「撮るサークルなのに撮ろうとしてなかった・・・・(小声で)完全に左翼でした。」
箭肉「そんなもんだよね。」
坂井「勉強すればするほど左翼になるのは当たり前。年間映画300本見て、日仏センター行って、アテネ・フランセ行って・・・そりゃ左翼になりますよ!そうこうしてたらプレミア使って編集してガーリーフォトとか『スワロウテイル』好きなんです、なんて奴らはいなくなるんです!完全におかしくなりました。」
箭肉「バイトはしてたの?」
坂井「朝日新聞国際部で。イブニングニュースの。」
箭肉「何やってたの?」
坂井「コピーやってました。コピーして、これは経済かなーと思ったら経済部のデスクに持って行って。振り分けですね。あとゲーセン。新目白通りの。(また小声で)武装戦線のたまり場。」
箭肉「映像関係は?」
坂井「エロVシネマの助監督。ディレクターズカンパニーのプロデューサーが長谷川和彦監督が30年ぶりにメガホン取って『あしたのジョー』の実写版撮るって。で、その助監督に指名されてもうクランクインを8年待ってます。エロVシネマ以外ではインディープロレス団体の試合の撮影。」
箭肉「それが今所属してるDDT。」
坂井「そうです。すごく面白かった。30年撮らない監督がいるのに、毎週毎週起承転結のある2時間の興行を作り出してるんですよ。その衝撃ったらなかったですね。」
箭肉「作るって行為に飢えてたのかな?」
坂井「作んなきゃいけないんですよ。」
箭肉「映像班で入ったんだよね?なんでプロレスラー?」
坂井「なりゆきです。」
箭肉「なりゆきでなるもんなの?ほらプロレスってよく入門テストとかあるじゃない。あれは?」
坂井「自分はそのへん意外と免除。スクワットは3000回じゃなくて、およそ3。」
箭肉「ゆとり教育世代だ。」
坂井「のびのびとおおらかに育てられました。和田君もゆとりだよね。企画丸投げだったもん。『およそ45分お願いします』って。あと何分?」
和田君「あと15分です。」あわてる2人。
箭肉「じゃあちょっとマッスルのVTR見てもらおうか。」
マッスルのダイジェストが流れる。
箭肉「ここからは進行重視だからね。言いたいことがあったらはさんでって。演劇的要素ってのは前からやりたかったの?」
坂井うなづくと「他にやることがないっていうか・・・就職したくなかったし・・・・魅力のある仕事もないし景気悪いし。リアルな世代でいうとロスト・ジェネレーションなんですよ!卒業してないんで就職もできなかったんですけど。」
箭肉「とは言ってもなんかあるでしょ、(マッスルの)テーマ?」
坂井「口で言うのはちょっと・・・本(八百長★野郎)があるから・・・興行を生で見て欲しいですね。普通にやってもプロレスラーに通用しない、優れてるわけでもないし。」
箭肉「頑張ろう!って気はない?」
坂井「頑張ろうって思っても、みんな頑張ってるから埋没する。」
箭肉「ほら体大きいし・・・」
坂井「緊張の緩和です。」
箭肉「意味わからない。」
坂井「体大きいけど、スクワット3回。この対比が『緊張の緩和』。サゲという笑いの作用ですよ。桂枝雀の本に書いてある。サゲのパターンは4つしかないんです。どんでんと・・・」
巻きのカンペ「映像へ」が入る。箭肉はマッスル牧場classicのダイジェスト映像を紹介。
トークに戻る。箭肉「プロレスじゃない、バラエティ・・・」
坂井「バラエティでもないですね。ドキュメンタリー。僕らみたいなインディーズバンドが武道館に進出するにはオールナイトニッポンみたいな番組が必要なんですよ。一緒にスタジオにいるような騙し。それを埼玉という日本の極めて特殊なモンスタータウンで、高校生大学生の目線でのゆとりプロレス番組を。テレビ埼玉ってとこでやってたんですけど、地方局って枠を売ってくれるんですよ。みなさんがどん引きするくらい安い額で。後楽園大会の収益2、3回分プールして、次の興行に使わなかったら3ヶ月12回分の枠が買えて。だから今は金がないです!」
次にSPA!、「めちゃ2イケてる」(映像は「暴れん坊将軍」だったが)などの坂井のプロレス以外の活動の紹介V。箭肉「いろんな業界のトップと仕事して刺激受ける?」
坂井「凄いっすよ。」
箭肉「自分の仕事にフィードバックできる?」
坂井「うーーーーーーん・・・今いろいろ考え中です。」
箭肉「まとまることは・・・・ないか。でも1月3日があるわけでしょ?告知的なことで。武道館はやる?」
坂井「そろそろ狼少年的な言われ方と言うか雰囲気になってきてますね。」
箭肉「やれますか?」
坂井客席の高木社長に「高木さん!」と話を振る。
高木「やって構わないですよ。」
坂井「貸してくれますかね?」
高木「そこだよな。」
坂井「どっかTV局がスポンサー付いてくれないと。」
箭肉「どなたか付いてくれそうな局知りませんか?」
坂井「TV局はコンプライアンスがどうのこうの言うんですよね。TBSラジオとか穴場じゃないかと。」
箭肉「ラジオ番組やりたい、と。当面の目標は。」とまとめる。
坂井「ん?あ、はい。氣志團の武道館までの4年間凄かったですもんね。」

進行の和田君が「最後に質疑応答」ということで質問を募る。獅子王みたいな金髪の男が手を上げるが坂井は「女子学生を。」と無視。しかし誰も手を上げない。
坂井「仕込まれてないんですかー?広告研の1、2年の女子いないんですかー?」
和田君が後輩の女子を指名する。
坂井ステージの一番前に立って「おじさんが何でも答えてやる!」
女子学生は困った末に「・・・枝雀の4つのサゲの話を。」
箭肉「長くなる!」
坂井「どんでん、謎解き、へん(シュール)、合わせ、この4つ。『らくごDE枝雀』って本です!」
そして金髪の獅子王が指名される。獅子王「自分は大学で学生プロレスやってるんですけど、自分が心血注いでやってる学プロと、坂井さんがリングでやってるプロレスの違いが全くわかりません。」
坂井「僕自身は何の違いもないと思うし、上だとかも思ってない。」
獅子王「でも坂井さんたちは5000円6000円取ってるわけじゃないですか。自分らは無料です。違いがないのならおかしくないですか?」
箭肉「そもそも君は学生なの?」
獅子王「学生です。」
箭肉「いくつ?」
獅子王「31です。」
箭肉「学校はどこ?」
獅子王「早稲田です。」
坂井「8年しか入れないのに31って浪人?」
獅子王「現役です。8年いて、また受け直して。」
箭肉「学部どこ?」
獅子王「二文です。31年生きてきて自分にはゆとりは全く感じません。」
箭肉「バイト何かやってるの?」
獅子王「終電終わった後に電車の中吊り広告変えるのを。」
箭肉「時給いくら?」
獅子王「600・・・20円上がって620円になりました。」安くない?
箭肉「それで月いくらになるの?」
獅子王「月・・・8万です。」
坂井「家賃は?」
獅子王「20?・・・18万です。新宿5丁目で。」
坂井「ウチの事務所の近くだよ。収入月8万でなんで18万のとこ住んでんの?」
獅子王「家から仕送り20万もらってて。」
箭肉「俺より収入多いよ!」
獅子王「9時に授業が終わるんで、10時から11時まで練習して。」
坂井「たった1時間しかやってない!12時までやればいいじゃん!」
獅子王「いや、終電が。あの辺物騒じゃないですか。交通費は親からパスネットでもらってるのでそれも使わないと。」なんだそりゃ。
箭肉「12年学生プロレスやってたらさあ、プロレスラーになればいいんじゃね?新日本とか?」
獅子王「IWGPのベルト、今どこにあるか御存知ですか?」
坂井「全日本の社長の武藤さん。」
獅子王「新日本最強のベルトが他団体にもう1年近くもあるんですよ!」
坂井「同じ団体だろ、ほぼ。ZERO-1も。」
獅子王「ベルトが新日に戻らない限り、僕は入る気がない。」そうですか・・・。
坂井「この学祭シーズンにさ、なんで試合やってないの?UWFとかやってるじゃない。」
獅子王「自分フリーの学生レスラーですから。試合もやったことないです。」うはははははははは。
箭肉「じゃあさ、今ここで坂井とやればいいじゃん。俺レフェリーやってやるよ。知ってる?全日本は日大講堂で旗揚げしたんだぜ?」
坂井「大隈講堂でこの学生と旗揚げしろってことですか?」
箭肉「No Muscle, No Lifeってことで試合で締めよう!」
獅子王はやる気満々で上半身を脱ぐ。坂井しぶしぶ応じる。

試合開始。手四つでスタート。坂井が「この学生が!」と腕をひねる、ハンマーロックに。獅子王がヘッドロックに切り返す。坂井ロープに振る、獅子王戻ってくる、坂井ショルダーブロックで吹っ飛ばす。坂井エルボー、その激しさに会場からは驚きの声。獅子王もエルボー返す。坂井は「もっと打て!」と挑発。獅子王エルボー連打、坂井は客席に連れ出しイスに叩き付ける。坂井が舞台袖に引っ込みイスを大量に持って戻ってくる。ステージ中央に積み上げる。坂井はDr.Pepperを口に含むと獅子王に噴き掛ける。箭肉「飲食禁止!」坂井「飲んでない!出した!」 坂井ロープに振って竹刀、大家かわしてガットショット、竹刀を取り上げて逆に一撃。獅子王イスで坂井の頭を撃つ、イスの底が抜ける。箭肉「頭よりもスクリーンが(心配)!」 獅子王はフォーク攻撃、坂井は外れたイスの底で殴る。坂井イスの山にブレーンバスター、カバー、箭肉がカウント取る。1、2、暗転。
「エトピリカ」が流れ獅子王のモノローグ。「俺の名前は大家健。ユニオンプロレスの中堅レスラー。」やっぱり大家だったのか!
「日本大学文理学部を現役で卒業し、比較的入りやすいDDTへ入門。大学では学生プロレスしかやってなかったのでプロレスラーになるしかなかった。プロレスこそが俺のすべてだ。団体に入門し、マッスル坂井に出会った。初心者の坂井に経験者の俺がプロレスのすべてを教えてやったにもかかわらず、坂井はことあるごとに俺を都合よく使い、自らの出世に利用して行った。俺が人生のすべてを賭けて教えたプロレスを坂井は道具のようにしか思っていない。俺と同じ使い捨ての道具にしか・・・坂井、お前とはここでお別れだ。このフォークであの世に行ってしまうがいい。」
大家はカウント2で肩を上げるとイスで坂井の顔面に左右からフルスイング(スローモーション)。ポケットからプラスチックのフォークを取り出す。
ここで坂井のモノローグに。「俺の名前はマッスル坂井、現在完全に意識が朦朧としている。こんなフォークで襲ってくるなんて事前の打ち合わせにはなかったことだ。この演出が観客を盛り上げるためのアドリブなのか大家が間違ってるのか全く想像がつかない。しかし俺は母校の、縁もゆかりもない後輩に依頼されたこのイベントを成功させなきゃいけない義務がある。ゆとりある彼らに伝えなければいけないメッセージがある!あれ、ちょっと待て?このフォーク、どっかで見たことがある。この丈夫で長持ちするポリカーボネート製のフォーク、ウチの実家で作った奴じゃないか!20年以上前のフォークなのに、なんて丈夫で長持ちなんだ!日本の技術は優秀だなあ・・・」
スクリーンには大きく「終」の文字。3人頭を下げ、坂井「ありがとうございました!」で退場。

やー、笑った。しかし後輩たちが期待したのはこれだったのだろうか?



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