JWP 95年5月中国遠征



5月13日。いよいよ出発。15時集合、17時10分成田発のUA機で20時40分北京首都空港着。21時過ぎにホテルへ。この日は予定では何もないはずだったが、選手全員と山本代表によるお出迎えあり。


北京2日目の14日。午前は選手と共に天安門広場へ。ここでツアー客は思い思いに選手と2ショットを撮りまくる。選手はここから即今日の会場の北京武警特殊部隊訓練館へ。我々ファンは観光を終えて午後に移動。途中は寝ていたのでわからんが、目が覚めるとすげえきったない田舎道を走っていた。臭いがまた強烈。そして北京武警特殊部隊訓練館は要するに武装警察の訓練場の体育館なわけで、その隣は実弾射撃訓練場。会場に入るとすでにかなりの入り。これは予想を裏切った。

篠崎社長の挨拶のあと、山本代表、宮口、天野によるルール説明。しかしここで説明できるほどルールが簡単じゃないところがプロレスだからなあ(あとルール外のこともいろいろあるし)。

そしていよいよ歴史に残る第1戦。第1試合は宮口・天野vs外山・菅生。最初は受け身の音の大きさに少し沸いた(とにかく序盤で一番ウケた技が「首投げ」なのだから。「一本取った」と勘違いでもしたのかと思ったくらい)ものの、騒いでいるのはツアー客と「北京外大プロレス研究会(貼り紙まで用意してた)」の連中のみ。いきなり壁にぶち当たってしまった。

第2試合はボリショイの復帰戦となるボリショイ・キッドvsキャンディー奥津。「ピエロ」のキャラクターが受け入れられなかったのは大誤算。さらにこの試合の途中4本のロープ(ポクシング用のリングを借りたそうだ)の2段目の金具が壊れてロープがゆるみ、奥津が転落というアクシデントあり。その後も気丈に試合を続け、ジャーマンでボリショイを仕留めたが、危ないところであった。

急遽2段ロープを外し、3段目を2段目に上げての第3試合は尾崎魔弓vs矢樹広弓。尾崎が開始早々場外お偉いさんの席になだれ込んで無理やり参加させてしまう。矢樹も技で対抗するがこれも意外なことに寝技が全くウケない。結局はいつもの如くライガーボム1発で尾崎の完勝。

メインはデビル・キューティーvs関西・福岡のタッグマッチ。やはりプロレス初体験の客を最も沸かせたのはデビルさんの一挙手一投足(声援を贈る訓練兵への敬礼がまたウケた)であり、デビル・関西のぶつかり合いであった。これがなければどうにもならない状態というのは早く脱却しなければならないJWPではあるが、今のところこればっかりは。試合の方は固いマット上に関西のバックドロップで叩きつけられたキューティーがフォール負け。「鳴り物」も入って盛り上がった大会となった。


3日目の15日、朝早く起きて選手(行き/帰りでファンのバスに同乗する選手は入替え)と共に万里の長城へ。バスの中では選手に関するカルトクイズ(といっても身長、靴のサイズ、デビュー戦の相手、スポーツ歴程度)と選手に対する質問コーナー。「ここにいない新人のバクロ話をお願いします」という質問に対し、天野・宮口が話し合ったわけでもないだろうにいずれも「久住はー、おとなしそうに見えるけどー、寮では結構凄い。」と久住ネタ。しかも物真似つき。

万里の長城に着くが、長ぁい万里の長城の中でも今回訪れたポイント(八達嶺)はアップダウンが激しかったせいか、誰も先に進もうとせず選手のまわりをたむろするばかり。実際選手も週プロの取材で登らされた奥津・矢樹と個人的に登ったボリショイ以外はほとんど前に進まず。

17時半にホテルに戻り、身支度を整えて19時からの「ピュアな宴会inチャイナ」に備える。ファンは18時40分に集合し、席決め。各テーブル(4コ)に選手は3〜4人ずつ。これを巡っての争奪戦。選手組み合わせは関西・プラム・能智・天野、デビル・福岡・菅生、尾崎・奥津・外山、キューティー・矢樹・宮口(ボリショイはスタッフ席)。最も競争率が高かったのがキューティー・矢樹のテーブル。しかし譲ってくれる人もいてテーブルは確保。次に席の位置。ジャンケンで3位になり、キューティー横を選ぶ人もいたため、矢樹の隣を無事GET。

選手が入場し席に着くが、なかなか話は盛り上がらない。ここで企画の時間。まずは「選手とデュエット」。宮口、尾崎ママ(風間氏が相手を務める)、天野に続いて矢樹。しかし矢樹は関西におどされ笑わされて歌にならない。次は「リングアナ・コンテスト」。1位は当時関西ファンだった「あの人」。「まんじゅう早食い大会」(プラム、奥津、矢樹が挑戦するもいずれもファンに惨敗)「小鉄の部屋」(単なるトークショー)に続き「山本小鉄審判による口ゲンカ大会」。最高だったのは関西vs関西おかん。

次は「JWPハンマープライス」。矢樹の出品は一本背負い→腕ひしぎ十字固め。1000円。その他、全員のキスマーク入り寄せ書きサインが1万円、奥津の肉声の留守番電話テープが2万5千円、福岡に「あーん」で食べさせてもらうのが2万円、尾崎のソフトSM(これは最初っからバトルロイヤル風間氏が取ることを期待されていたような)が1万円、ボリショイの一輪車コーチ料が人気なく300円であった。その他、「JWPカルトクイズ」ではママ軍団が好成績。


16日朝、日本では「麻原彰晃逮捕」という大きなニュースが列島を揺るがしていたようだが、オウム好きのJWP選手・フロント勢の中でもあっと言う間にその情報が駆けめぐっていた。(特に奥津が「(オウム・ウォッチャーの)天野も知らなかったのよお。」と自慢げに情報をバラまいていた。私もそれをはたで聞いてその事実を知った。)

夜はJWP中国遠征2戦目、天津大会。試合前になぜか歌のコーナー。山本代表に後で聞くと「知りません。篠崎と天津の方の話し合いで決まったのではないでしょうか。」という返事。うれしくないわけはないが(特にデビルの歌はうまかった)、リングで歌ってのはねえ。

今日のルール説明は菅生と宮口。北京とはちょっと変えて、反則5カウントでも必ずしも反則負けにはならないことを強調したためちょっと失笑が漏れる。確かに北京で理解されなかったルールではあるが、ここまでやらなくても、という感じもあり。ちなみにこのルール説明で気合の入っていなかった菅生は小鉄氏に厳しく注意されたそうである。

そして試合開始。リングは北京と同様ボクシングのリングにウレタンをのせてキャンバスを広げただけのもの。ロープもゆるい。今日はこのテのアクシデントは起きなかったものの、第1試合、宮口vs天野の試合の最中に突然照明が落ちた。中国側のスタッフは「停電」と主張した、ということだったが、見るからに間違ってスイッチを切ったとしか思えなかった。そして音響も再三雑音が入って集中力を妨げる。そんな中でも熱戦を繰り広げた宮口と天野、もっと行くかと思ったが、意外にあっさり宮口が「ブラックバスター」からダイビングボディアタックでピン。なおこの2人が遠征に選ばれたのは「新人の中でも動きがいいため(山本代表)」だとのこと。

第2試合はボリショイ・矢樹組vs外山・菅生組。その夜に代表が「金返せと言いたくなった」と酷評した試合。矢樹はよくやってたと思うんだが、ひいき目だろうか?ボリショイはまたもすべってたけど。

第3試合、因縁のキューティーvs尾崎。代表はこの試合はほめていたが、髪の引っ張り合いが長すぎて客を引かせてしまったような気がするのは私だけだろうか?フィニッシュは唐突で、キューティーがドラゴンから延髄ニーを尾崎の後頭部に2連発で入れて勝利。シングルで勝ったのはずいぶん久しぶりじゃないだろうか?この試合あたりから席を立つ客が増えはじめる。単に「面白くない」だけなら、あんなに一斉には立ち上がらないだろうから、やっぱり理由は時間なのだろう。時間を忘れさすほど引きつけられなかったと言えばそれまでだが。こんなことなら歌やらなきゃよかったのに。

そしてメイン。やっぱりここでもメインのタッグが一番の盛り上がりを見せたし、内容も良かった。これは代表の意見もファンの感想も同じ。しかし最後でデビルが福岡を持ち上げて場外の関西に投げつけた際、福岡がヒザを強打。ひとりでは歩いて帰ることもできず、ちょっと後味悪い試合に(ケガはそれほどでもないそうだが)。試合終了後、ツアー参加者は「ここでしか手に入らない」大会ポスターを我先にはがして持ち帰る。試合終了は結局22時。

午前2時半頃に疲れ果ててホテルに戻ってきた選手団、それでも待っていたファンに気を遣ってのご挨拶。しかし山本代表とはその後も「朝まで生プロレス」。ほとんど寝ずに翌朝帰国。



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