JWP 95年6月11日・後楽園ホール大会



両国国技館大会前の最後の試合となる後楽園大会。まずは蒼星杯。ここまでの得点状況は宮口、天野、久住が4点でトップ並走。


第1試合 久住智子 vs 本谷香名子

同点トップの中の久住がまず本谷(2点)と対戦。試合前「本谷にはここまで負けたこともないので今日も行けます。」と自信を見せていた久住。これに対し、GAEAとの対抗戦でひと皮むけた感のある本谷は試合開始から気迫十分に睨みつける。最近身につけたスワンダイブ式ミサイルキックの連発で本谷を完璧に封じたと思われた久住、一瞬の前方飛びつき回転エビ固めで丸め込まれまさかの3カウント。ぼうぜんとする久住、「どうだ!」とばかりにまたも睨みつける本谷。これがあるから1か月くらいのキャリアの差ってわからないよなあ。


第2試合 宮口知子 vs 天野理恵子

大番狂わせ(?)のあとの第2試合は本命対決・宮口vs天野。試合開始早々のエビ固めであわや3カウントをとるところだった宮口、そのまま早い仕掛けで天野を攻める。タックル、ブラックバスターも序盤から出す。しかしこの組み立ての乱れがまた災いとなり、天野は逆さ押さえ込み崩れのエビ固めで宮口を抑えて決勝一番乗り。この結果宮口と久住が4点の同点でリーグ戦を終了したためそのまま出場者決定戦になだれ込むことに。


第3試合 宮口知子 vs 久住智子

肉体的疲労は宮口にあったかもしれないが精神的ショックのあった久住はまたも変形のエビ固めで敗退。くやしさに試合後も宮口に殴りかかる久住だが結果は結果。これで蒼星杯決勝戦は宮口vs天野に。久住はオープニングマッチ、GAEAとの6人タッグ戦に出ることになった。この差は大きい。


第3試合 キャンディー奥津&能智房代 vs 矢樹広弓&菅生裕美

試合前から自分をサイクアウトし、パートナーの菅生に対してもケンカ腰(6/16では菅生も敵なのだから当たり前)の矢樹、先発の能智を無視して奥津に仕掛けていく。軽く見られた能智が反撃に出るが、今の矢樹には通じない。雪崩式一本背負いであわや3カウント(奥津にタッチ)、2度目に出た際には痛めていた左肩をまたワキ固めで攻められて泣き顔に。さらに終盤には久々のジャンピング足バタバタDDTで頭からマットに突っ込まされた首グキ状態。この2人も能智の欠場中に差が(意気込みの点で)ついたか?今日が復帰戦の奥津はさすがにスープレックスは出せそうもない。しかし場外戦では矢樹・菅生を圧倒し、逆エビで矢樹の腰を逆に痛めつける。結局前哨戦は相譲らない意地の張り合いのまま30分時間切れ。試合後矢樹は突然菅生に張り手。流れを意識してない会場のファンは面食らったようだが、ここまで気合を入れてるということだ。問題はそれをどうやって16日まで持たせて、どうやって試合に反映させるか、結果を出すかなのだが。


第4試合 福岡晶&倉垣靖子 vs 外山寿美代&小林智美

このカードは意表を突いたなあ。新人の中でアピールが足りないと言われる倉垣と小林だが、今日はばっちり。倉垣は外山をスリーパーに捕らえて何分も絞めつづける(これで落としてればもっとよかったんだが)わ、小林は前回に続きココナツクラッシュ連発、さらに1回やるごとに両手を上げるパフォーマンスが妙に会場のウケを取り、試合でも粘って評価を上げた。倉垣と外山も因縁らしきものが芽生えた(6/16でもGAEAの佐藤と組んで外山&ボンバーと当たる。)し、今後も期待できる。


第5試合 デビル雅美&ダイナマイト関西 vs キューティー鈴木&尾崎魔弓

第3試合がJWP旗揚げ後に入ったメンバーだけで組まれたのに対し、この対戦は一昨年までの「黄金カード」。4/16よりも「3周年記念」らしいものになった。が、6/16に賭ける意気込みを持つ関西と、特にそういうもののない尾崎・キューティーでは勝負にならず。「好試合」ではあったが所詮そこまで。ダイハード関西を初めてキューティーに炸裂させ(試運転のつもり?)ての完勝。両国は不安なしで臨む。


6月16日・両国国技館大会


いよいよ両国大会当日。会場へと向かう道ではダフ屋が「2000円でいいよ!」の悲痛な叫び。そんなに余っているのか?まあそんなことはどうでもいい。とにかくパンフを買って早く席へ。マス席1列目というのは初めてだったがさすがに見やすい。入場式に続いて試合開始。


第1試合 加藤園子、成田舞子、永島千佳世 vs 久住智子、小林智美、宮崎有妃

オープニングマッチはJWPとGAEA JAPANの対抗戦6人タッグ。ルールはGAEA NEO SOUL BATTLE形式で。GAEA側は成田のオクラホマスタンピードという一撃必殺があるからいかにそこにつなぐかだったが、JWP側にはまだそういった大技はないから当然チームプレーでチャンスを作るしかない。が、しかしこないだからのGAEAの「見せる連携」に感化されたか、どうもそういうのばかり。組み立てて試合をするというのはまだこのレベルには無理か。あと、普通のファンはいいかもしれんが、私にはちょっとこの試合はうるさすぎた。ギャーギャー声を出すよりグラウンド技の1コも出してみろ!と思うんだがそれもムリか?そんなこんなでバタバタした6人タッグは宮崎がつかまって成田のオクラホマをくらってしまったが、これを小林が救出して難を逃れ、15分引き分け、即延長戦に。延長戦でも3人ドロップキック、串刺し3連弾(GAEAは6連弾までやった)など混戦模様であったが、永島が小林と1vs1になったのを見逃さず、すかさずエビに固めて殊勲の1勝。またJWPは「借り」を作ってしまった。

第2試合 能智房代&前川久美子 vs 玉田りえ&本谷香名子

能智の「直訴」で実現した玉田・前川の参戦も、肝心の能智の動きが悪くもう一歩。玉田はうまいんだが(本谷にちゃんと指示を出していた)、能智と前川はコンビネーションも今ひとつ。それでも最後は本谷にダブルインパクト式ミサイルキックで完勝。でもこの試合に求められていたのは「結果」ではない。


第3試合 ブルースターカップ優勝戦
天野理恵子 vs 宮口知子

空手出身の割に今までそういう蹴りを見せなかった宮口がこの試合で初めてジャンピングキックを披露。対する天野も宮口のタックルをかわしてのジャンピングラリアットを見せる。そろそろこの2人は大技解禁か?互いに序盤からミサイルキック等の大技を出して中盤からバテ気味。気合入りすぎかもしれない。そして宮口はまたもブラックバスターを10分から出す。しかもそれを天野にエビで切り返される。もうちょっとこの技は大事に使えよ。試合はさらに消耗戦となり、トップロープに上がる→落とすの繰り返しと殴り合い、エビ固めの応酬が多くなってくる。しかし宮口がまさに「最後の力」で走ってのエルボーを狙ったところ、そのまま後ろを走ってロープに押し込んだ天野が後方回転エビ固め。3カウントが入り、第2回の優勝者は天野に決定。中国で圧勝したことを考えても実力的には宮口が上なんだろうが、センスと舞台度胸で天野が結果を出した。この2人の闘いはこれからどうなるか。惜しくも決定戦で敗退した久住の巻き返しは?


第4試合 外山寿美代&ボンバー光 vs 倉垣靖子&佐藤季恵

外山・ボンバーの初タッグ。相手は倉垣とGAEAの佐藤。倉垣はせっかく6/11で外山にスリーパーで攻め込むという見せ場を作ったのに、今日は出さず。それじゃあ意味ないだろ。外山・ボンバーは口ゲンカはするものの連携プレーも一応は見せ(息は合ってないが)、まずまずのタッグぶり。「期待」された仲間割れもなし。一方初めてGAEAの先輩と対戦した佐藤はちょっと動きが前回と比べても勢いに欠ける。これが実はGAEAの新人全員にとってのこれからの課題なのだが。勝負もボンバーが佐藤を押さえて終わり。


第5試合 ボリショイ・キッド vs キューティー鈴木

ボリショイの国内(本格)復帰戦。「両国国技館では物を投げることが禁じられているため」ボリショイの飴ばらまきはなし。そう言えば今回は紙テープも禁じられていたのだが、わずかに1人、この禁を破って再三投げる奴がいた。しかも自分の席からわざわざ離れて投げていたから、禁じられていることを知ってての「確信犯」なのだろう。係員が見つけて一旦外に出していたようではあったが、ちゃんと「退場」させたかなあ。山本代表ならちゃんとやっただろうけど、一般の係員じゃ不安。話を戻してボリショイの対戦相手・キューティー鈴木はなぜか白いタイガーマスク風のマスクをつけて入場。コールは「キューティー鈴木」。試合が始まってもマスクは取らず、しかもボリショイの「遊び」に付き合わないなどやることはヒール系。最初見た時は笑ったが、やっぱキューティーは顔出さなきゃ。とのみんなの思いが伝わったか単に苦しくなったのか10分経過頃ようやくマスクを取ったキューティー。ここからは普通のボリショイvsキューティー。ボリショイが予想外(と言っては失礼か)の粘りを見せるがキューティーは延髄ニーからドラゴンでこれを撃破。両国という大舞台でボリショイの復帰戦というのはキューティーにはあまりに役不足過ぎたかもしれない。


第6試合 初代JWPジュニア王者決定巴戦
キャンディー奥津 vs 矢樹広弓 vs 菅生裕美

抽選の結果、緒戦は矢樹vs菅生に。巴戦を意識したのか両者とも勝負を急ぐ。何でそこまで後のことばかり意識したのか。結果からいうとそれが一番よくなかった。一瞬の片エビ固め(技からではない)で矢樹、まさかの敗戦。菅生にはもちろん初の黒星。

続いて出てくる奥津は1分足らずで菅生を雪崩式ノーザンで潰し(勝負を急ぐとはこうするものだ)、体力も温存したままで矢樹戦に臨む。

これで決まる、という試合なのにここまで引きずったバタバタしたムードに最後まで矢樹がハマってしまった。ジャーマン連発を切り返されてのヒザじん帯固め。つまり4/16の「お返し」。これであの2連勝もどこかに消えてしまった。マジで2連勝できる力を持ってるのは奥津だけ(矢樹が勝つとすれば巴戦が何度も繰り返されたときの関節か)と思っていたが、予想が余りにも当たってしまい悔しいどころかグウの音も出ない。これで落ち込まなきゃいいけどなあ、矢樹が。7月9日の後楽園で奥津が初防衛戦を行うようだが、相手は能智かな?意表を突く相手は出てこないかなあ。


セミファイナル KAORU&福岡晶 vs デビル雅美&尾崎魔弓

この大会場のセミでこの組み合わせ。たぶん山本代表もそういう声は聞こえてきただろうが、あとは福岡の奮起に期待するのみ、というところなのだろう。しかしこのコンビ、事前に話し合った(であろうことが見え見えの)連携は華麗に決めるものの、それが試合の流れとどうも無関係。やっぱ何度もタッグ組んで試合やって、合宿でもやって練習重ねないことにはほんとの「タッグチーム」はできない。そういうところに怒りを感じたか、試合中に何かあったのかそれともここまでの因縁か、テキーラで福岡を下した尾崎が試合後KAORUに突っかかる。このシングルもしばらくやってないからなあ。ほんとだったらそっちの方が良かったかも。


メインイベント ダイナマイト関西 vs 長与千種

そしてメイン。「運命の闘い」とまで言われ、気合入りまくりの関西と長与。千葉リングアナのコールも田中リングアナばりの前口上付き。試合は序盤から蹴り合い。これは自分にとっては意外な展開。長与は関西の顔面狙いでダウンを再三奪うが、関西はミドルで長与のレバーを狙う。これがアバラに入ったか長与がダウン。アクシデント的な倒れ方だったためチャーリーはカウントを9で止め長与を立たせる。しかしそれからもしばらくは長与はアバラを気にしての戦いが続く。が、ここで関西も勝機は見いだせず、また長与のハイキックで逆にカウント9のダウン。なかなか「プロレス」にはならない。場外戦で関西と長与がラリアット相討ち。さらにロープを挟んでもう1回。このへんから試合が正常に動いてきた。「やれるもんならやってみろ」のつもりか背中を向けてトップロープに上がる長与を関西はダイハードに捕らえようとするがこれは二度とも失敗。長与の逆スプラッシュマウンテンは失敗したが、投げ捨てランニングスリーは成功。しかしカウント3は許さず。関西キックからようやくスプラッシュマウンテン。1度目は2でハネられるが2度目のトライで成功。この試合のテーマである技で勝負がついた。勝った関西も立てない状態。しかし勝って良かった。昨年、大舞台でのシングルで負け続けた関西だけに、ほんとに良かった。

GAEAの加藤や植松は長与の敗戦に涙していたが、JWP勢は特に歓喜するでなく、やはり「ホッ」としていた。

結局JWP初の両国大会の入りはパッと見満員。もちろん1マスに2人、3人で座っていたこともあるが。発表でも1万1千人。かなり割引も出してたし、グッズも大したことなかったから儲けたかはどうかは怪しいとこだが、インディーにしてはよくやった、と言えるな。



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