JWP 5/10 後楽園ホール大会



土曜の夜というのに出足が悪い。と思ったが、たぶんこれは5つもいっぺんに(8月の後楽園、7月の逗子マリーナ、6〜7月の地方大会)前売りチケットを売り出したためだったようだ。しかし北階段席のE列がずらーっと空席という変な現象もあり、実際のところ8割くらいの入りかな?という感じではあるが。

選手入場式後、奥津が一人残り、引退発表。引退の期日は8月17日。「前から腰の持病を抱えてたんですが、限界を感じて引退を決意しました。あと3か月ですが、自分らしく明るく楽しく闘いたいと思います。」と本人。事前にスポーツ新聞で発表されていたせいか、みんな「いつそうなってもおかしくない」と思っていたのかさほどどよめきも「やめるな!」の声もなし。


第1試合 尾崎魔弓 vs 大隅沙理

大隅ゴングを待たず尾崎に突っかかる。しかし殴ったりするわけではなく、抱きついたまま止まる。そうか、サリちゃんは尾崎フリークなのだった。尾崎は「気持ち悪い!離せ!」レフェリーが分け、改めて試合開始の握手。またサリちゃん離さない。尾崎また「離せ!」。もうすっかり大隅ワールド。逆エビに固めると「うぉっざっき!ぎっぶうわっぷ?」と妙な声を上げる。尾崎も「うぅおぅすみ!ぎっぶうわっぷ?」と返す。サリちゃんすると「ノーです。」違うだろー!大隅は「居合式」サリちゃんV、正調サリちゃんV、スーパーサリちゃんVと畳みかける。しかし次のダイビングボディプレスはあっさりかわされる。尾崎、「そろそろ決めまーす。」と宣言して、裏拳。大隅かわす。大隅「あっ!」とあらぬ方向を指さして、尾崎がそれに気を取られると、すかさず逆さ押さえ込み。2カウント。尾崎「あっ!」作戦をやり返して張り手一発から片エビで押さえ込みあっけなくフォール。

尾崎(9分8秒 片エビ固め)大隅

マイクを取る大隅。「尾崎さん!私は、OZアカデミーに入るのはやめました!」場内「おおっ!」大隅「それで、相談したいことがあるんですが・・・・私、サリーちゃん’Sを作ったんですが、尾崎さん、入りませんか?」尾崎マイクなしで「やだよー!」大隅「すいませんでしたああっ!」最初っから最後までこれでした。ナチュラルな人にはかないません。セコンドのデビルさんも終始ゲラゲラ。


第2試合 JWPジュニア次期挑戦者決定戦
天野理恵子 vs 宮口知子

第1試合と打って変わって、握手に始まり、グラウンドの厳しい展開。天野の首4の字をローリングしてかわす宮口。それをさらに再反転してまた自分の態勢に持って行く天野。宮口はボディシザーズに取る。天野自分の両足で宮口の足首を固めるや、そこからアンクルホールド→サンボ流のレッグロックと流れるように技を決める。宮口は上に乗るやV1アームロック。よほど2人でグラウンドのスパーリングを繰り返しているのだろう、見事なまでの噛み合った動き。それでいて相手の動きの裏をかく両者。矢樹がいなくなって以来、こういう面での期待はあんまりしていなかったのだが、さすがこの2人は一枚違う。やっぱりちゃんとグラウンドのできる選手は団体の財産だ。試合は大技に移行し、宮口ブラックバスターからイナヅマ。しかし宮口のそれはもはやイナヅマではなくヒザを思い切りぶち当てて行く、といった感じ。天野はフライングラリアットで反撃。特に宮口がミサイルキックを予測して頭を下げたところにトップロープから行った一発は強烈。さらにハーフハッチ、2カウント。宮口はパワーボム狙いかたびたび天野を担ぎあげようとするが、切り返される。天野は首刈り腕十字を狙うがうまく決まらない。宮口の回転を加えてのブラックバスターは成功。さらにトップロープに上がった天野を自らコーナーに登ってブラックバスター一発、渾身の力で天野を押さえ込み、3カウント。

宮口(16分10秒 エビ固め)天野

宮口は21日・鳩ヶ谷大会での王座挑戦が決定。


ここで休憩。休憩後のインフォメーション・コーナーは尾崎。


第3試合 ダイナマイト関西、大隅沙理、元川恵美 vs キャンディー奥津、コマンド・ボリショイ、宮口知子

奥津チームの3人目は「JWP選手」とだけ発表されていたが、前の試合のダメージが軽い方、ということで宮口が選ばれたのだろうか?乱闘で始まり、まず元川が捕まる。エプロンの大隅は泣きそうな声で「モトカワ〜。ガンバレ〜。モ・ト・カ・ワ〜。」またも大ウケ。大隅を1日2回も見れるのは幸せかもしれない。しかし大隅が出たら出たで当然のごとく捕まる。で、関西が出てすべて蹴散らす、という展開。関西がボリショイをサソリ固めに捕らえる。ボリショイ自力では脱出不能。奥津と宮口が顔面にケリを入れてカットしようとするが、関西全く動じない。逆に大隅と元川が加勢に入るがあんまり効果なし。奥津の動きは普段にも増して元気。もちろん腰の痛みを押してやってるのだが、この人があと数カ月で引退とは信じられない。大隅のサリちゃんV、元川のエミちゃんX、そして関西のチエちゃんVが連発で決まる。しかし関西がバックドロップからフォールしようとしても、どうにも大隅では奥津、宮口のカットを止められない。そうこうするうち大隅がボディアタックを狙ったところをカウンターの掌底をボリショイにくらい、またもあっけない負け。

ボリショイ(19分1秒 体固め)大隅

なんとなく関西は憤然とした顔であいさつもせず控室へ。


第4試合 JWP認定ジュニア選手権試合
久住智子vs本谷香名子

久住のコスチュームはちょっと前から着ている福岡のおさがり。両者クリーンに握手。しかし久住が背を向けた瞬間、本谷がドロップキックで先制、さらにカナ・ロケット。しかしそのままルチャの典型的動き(同時ヘッドスプリングとか)に入ってしまい、あの奇襲はなんだったの?という感じになる。本谷は久住を場外に落とし、プランチャのフェイント。しかし久住はそこにいきなりスワンダイブのミサイルキックを。本谷が今度は場外転落。すかさず久住はスワンダイブ式プランチャ。場外フェンスに直撃した本谷はヒジを強打、なかなか戻ってこない。久住がひきずり上げ、ヒジに十字固め、ワキ固めなどの集中攻撃。痛そうな本谷。久住はロコモーション・ダブルアーム。本谷もこらえてかなこローリング・スペシャル(6連発サマーソルトドロップ)。さらにダイビング・セントーン。これは効いたか?久住はダブルアームの背骨折り3連発、背中へのミサイルキックをはさんでもう一発背骨折り。本谷は飛びつき回転エビで形勢逆転するや、久住の腹にミサイルキック、ダイビングセントーン、飛んできた久住に迎撃ドロップキックと、互いの背中と腹に攻撃の的を絞っての攻防が続く。本谷が技を自爆した久住のスキをつき、ラ・マヒストラル。2カウント。両者トップロープに上がる。何か投げ技を仕掛けようとした本谷を久住は後方に回って雪崩式後方回転エビ固め、足折り固めに決めて3カウント。かなり途中で危ない場面もあったが、久住が王者らしく自分の得意技で完璧防衛。

久住(14分45秒 雪崩式後方回転エビ固め)本谷


第5試合 JWP認定タッグ選手権試合
デビル雅美&福岡晶 vs キューティー鈴木&プラム麻里子

デビル&福岡はデビルのテーマで入場。圧倒的に王者組への声援が多いのだが、一部ジャパン女子時代からの古いファンが「ファイティング・ドールズ」を熱烈に応援する。ひとり握手を拒否するキューティー。奇襲で開始。キューティーは福岡の技をスカす。しかしプラムがつかまり早くもデビルさんのパワーボムの洗礼を浴びる。どちらかと言えばデビルに標的を絞っているようなキューティー組、連続スープレックスをデビルに浴びせる。しかしデビルはカカト落とし一発で形勢逆転が可能。逆に途中スタミナ切れした感もあった福岡に狙いを絞った方が、とも思われたが、福岡もなかなかしぶとい。キューティーを場外に落とし、デビルはプラムを料理にかかる。トップロープから福岡がムーンサルト・アタック!キューティーよける。「ゴツッ」という音が響く。どこから落ちたのだろうか?キューティーはトップロープにプラムを上げようとするデビルを阻止。逆にデビルをコーナーに置いてプラムが雪崩式フランケンシュタイナーを狙うが、失敗。キューティーと共に場外転落。デビルはプラムに場外フットスタンプ。さらにリングに引き上げる。カットしようとするキューティー。デビルのカカト落とし一発。福岡がキューティーをロープ際に固定。デビルはコーナーにプラムを乗せ、雪崩式ブレーンバスター。そしておそらく初公開のフィッシャーマンズ・バスター。そして最後のとどめはライガーボム。

デビル(20分7秒 エビ固め)プラム
※王者組防衛。

くやしげにデビルを睨み付けるキューティー。しかし何も言わず、失神状態のプラムを背負って控室に。

デビル&福岡は深々と客席に礼をして退場。今回は「次の挑戦者」は現れず。


終了は9時。なかなか硬軟バラエティーに富んだいい興行だった。さらなる若手、というか中堅の引退でかなり将来に不安のあるJWPだが、今のところ試合内容は心配することはなさそう。



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