JWP 97.8.17 ピュアハートフェスティバル後楽園大会(夜の部)



時間をつぶしていた喫茶店を出たのが16時52分。青いビルに再び向うと、さっきより長い列がホテルの工事現場のフェンスにまで達している。今回は真面目に列に並んで、階段から5Fのホールへ。ホールに入ったところで人の流れは2つの列に流れる。1つは非売品の奥津カードをもらう列、もうひとつは奥津のサイン会。昼の悲報があまりにもショックだったために忘れそうになるが、今日は、というかこの夜の部がキャンディー奥津の最後の試合。とうとうこの日が来てしまった。自分は最後(試合後にもあるのだが)のサイン会の列に並ぶ。結果から言うとこの後でも奥津カードは十分な量があったのでもらえた。席に着き、周辺の人に黄色の紙テープ投げ込みの依頼をして回る。みんな快く受け取ってくれた。これだけでも奥津がどんなに愛されていたかがわかる。

18時、試合開始の直前、再度(今度はヤマモから)「残念なお知らせ」。死因は「急性脳腫脹」と発表。

入場式はなし。


第1試合 大隅沙理 vs 天野理恵子

当初は大隅はカードに入っておらず、天野vsコマンドの予定であったが、コマンドがプラムの代わりに第3試合に入ったため大隅急遽出場。大隅は「魔法使いサリー」ではないテーマ曲で入場。新テーマか?天野、開始直後に大隅をロープに固定して顔を踏みつける尾崎得意の動き。昼の部とのあまりの変わりように客がとまどう。すぐさまフライングラリアット、ミサイルキックで大隅を追い込む。さらにクロスボディ。しかしこれは大隅がひっくり返す。大隅コーナーに上がり、スーパーサリーちゃんV。しかしこれは勢いも飛距離もない。さらにサリーちゃんOX。大隅ダイビングスプラッシュ、カウント2。大隅のショルダースルーを天野回転エビ、大隅こらえて尻餅を落とすが天野よける。天野得意の後方回転エビ、カウント2で大隅が返す。大隅ここで再びOXに。と、天野も全く同時に「O」のポーズ!そして驚いた大隅の胸にクロスチョップ!OX返しだ!天野は精神的ダメージを負った大隅に十字固め。大隅ロープに逃げる。大隅「あー!」作戦。天野は見事に引っかかる。しかし天野はミサイルキックから再度の十字固めでギブアップ勝ち。

天野(10分10秒 腕ひしぎ十字固め)大隅


第2試合 JWP認定ジュニア選手権試合
久住智子(王者)vs 宮口知子(挑戦者)

宮口にとってはまさに満を持しての挑戦。久住はJrオールスターで初披露したコスチューム。宮口は試合前の握手からそのまま久住をホイップ、場外に落とす。場外での鉄柵への打ち付け合いは宮口優勢。リング内に戻り、力比べも宮口の勝ち。ロープに振ってのボディシザースドロップ、サーフボードストレッチ、スリーパーホールドと責め付ける。さらにアームブリーカーからワキ固め。久住はスキをついてロープに駆け上がりスワンダイブのミサイルキックから逆エビ固め(→片逆エビに移行)。宮口はロープに飛んだ久住をキチンシンクで迎え撃ち、エルボードロップから逆エビのお返し。宮口早くもブラックバスターの体勢、久住回転の前に着地してスリーパーへ。久住ダブルアーム背骨折りに行こうとするが宮口はブロック。このへんは相手の得意技は熟知しているし、かける方も成功するとは思ってないだろう。宮口、「イナヅマ行くぞー」と叫んでレッグラリアット3連発。もう「イナヅマ」とは全然違う技なのになあ。この当たりで10分経過。久住もつにダブルアーム式背骨折りを決める。宮口を場外にたたき出し、コーナーからプランチャ。リング内に戻ってミサイルキック3連発。3発目は後頭部にヒット。カバーするがカウントは2.5。久住コーナーに上る。宮口は下から延髄蹴り。久住場外に転落。宮口プランチャを敢行するが久住がかわして自爆に終わる。久住は場外マット上でジャーマン。リング内でももう一発。久住再びコーナーへ。宮口また落とす。バックドロップで投げ、コーナーから飛んで延髄。カウントは2。ここで宮口は初公開(?)のクロスアーム式ダブルリストアームサルト。やはりカウントは2。宮口、久住を担ぎ上げてコーナーを上る。久住は雪崩式後方回転エビ固めに切り返す。カウントは2。宮口ジャーマン、しかし久住はすぐに立ち上がってジャーマンのお返し。久住がコーナーから飛ぶ。宮口空中で受け止めブラックバスターに行こうとするが、体勢崩れて前方に回転、カミカゼのような形に。改めて担ぎ上げ、ブラックバスター、カウントは2。久住クロスアームスープレックス、カウント2。久住コーナーに上がる。宮口、今度こそ、と久住を方に担ぎ上げ雪崩式ブラックバスター!これでようやくカウント3。

宮口(17分47秒 片エビ固め)久住
※宮口第6代王者に。

自ら手を叩いて大喜びの宮口。ベルトを授与されると久住に見せ付ける。「ノーサイド」の概念なし。ライバル意識そのまま。久住が一度も腰に巻かなかったジュニアのベルト、宮口は素直に天野に巻いてもらった。


第3試合 キューティー鈴木&コマンド・ボリショイ vs ダイナマイト関西&本谷香名子

7月6日から欠場を続けていた関西の一応の「復帰戦」。先発はコマンドと本谷。すぐキューティーにタッチ。関西もこれに応えるように出る。まずキック1発。これはゆるい。もう1発。けっこうキツい一発。そしてもう1発。やはり復帰戦では探りながら、になるのか。関西はキューティーをバックドロップで投げて、プラムに見せるようにか、ストレッチプラムに捕らえる。キューティーも同じ技でお返ししようとするが、足が卍固めの入り方をしてしまったため決まらず。結局コマンドも出てダブルのドラゴンスリーパーになってしまった。コマンドが関西をDDTで落とそうとするが、関西動かず。関西はコマンドを場外に落とし、コマンドを応援していた常連客にぶつける。コマンドもなぜかその客に関西をぶつける。せっかく応援してるのに。まあ知り合いなんだろうからお約束か。リング内に戻って関西ブレーンバスター、カバーに入るがキューティーがカット。関西スリーパー、コマンドはロープに逃げた後咳き込む。チョークだったのか?本谷が出て、コマンドにカナバット2発。変形クロスアームスープレックス、バックドロップ、セントーン5連発。関西が出てキック。コーナーに振ってラリアット、これはコマンドがかわす。コマンド、関西に掌底からジャーマン2発打ってキューティーとチェンジ。関西いきなりラリアット。コマンドが出て掌底、キューティーがジャーマンで投げる。関西2人をまとめて倒し、そこに本谷がセントーン3発。続いて関西も2発。最後はダブルで。本谷、キューティーにミサイルキック、しかし飛びついてのカナ・クラッチは途中で止められジャーマンで投げられる。コマンドが出るが、関西にバックドロップを食らう。そこに本谷がダイビングセントーン。キューティーがカット。もう1発ねらうが、これは自爆。キューティーがジャーマンで投げ、コマンドも雪崩式ピコバスターホールド、本谷は2で返す。関西が入りコマンドにキック、そのスキにカナ・マヒストラルで丸め込むがカウントは2。本谷コーナートップへ。キューティーがエプロンから足を引っ張りサポート、コマンドもコーナーに上がり、雪崩式裏投げ。キューティーが関西を押さえる間に3カウント。

コマンド(12分36秒 片エビ固め)本谷


第4試合 キャンディー奥津引退試合
キャンディー奥津 vs 福岡晶

「WOWOWスペシャル、キャンディー奥津引退試合を行います。」の千葉リングアナの声が響く。ついにこの瞬間が。奥津はコスチュームの上から黄色の"Extreme O"Tシャツ。これはゴーゴースゴーさんが作ったものか?続いてカウガールスタイルで入場の福岡。「タイトルマッチにするかどうかは当日決める」と言っていた福岡、ガウンの前を開くとベルトを巻いている。ヤマモと千葉リングアナ、福岡が相談したのち、改めて「キャンディー奥津引退試合、JWP認定無差別級選手権試合、60分1本勝負を行います!」のアナウンス。がっちりと握手。コーナーに戻って動かない福岡に奥津がラリアットで先制。場外に落とし、鉄柵にぶつける。昼にアジャが破壊した鉄柵はまたも壊れる。奥津は先にリングに戻り三角飛びプランチャ、福岡をリングに戻して三角飛びクロスボディ。福岡2発目はかわす。さっとコーナーに上り、狙ったかどうかはわからないが、奥津の腰にライダーキック!奥津倒れる。福岡別のコーナーから奥津が立ち上がるのを待ってミサイルキック。頭にヒット。ここで福岡こらえきれず泣き出してしまう。奥津立ち上がりビンタ。それでも元に戻らない福岡。奥津は垂直落下式ブレーンバスター2発。そして出た!尾崎との約束通り、正調ローリングジャーマン!全盛期のものと比べたらスピードもキレも高さもない。しかし間違いなく、奥津がジャーマン→首で起きる→相手を低い位置からまたジャーマン、のルーチンをやっている。最近ファンになった人は知らないでしょう、これが本物のローリングジャーマンです! ローリングジャーマンは結局4連発、その後ラリアットを3連発。しかし肝心の王者・福岡はまだ泣いている。奥津しびれを切らしてリング下に降り、マイクで「福岡!お前チャンピオンだろ!タイトルマッチだぞ!泣いてる場合じゃねー!」と叫ぶ。ここまで言われて福岡は奥津の顔に張り手。そしてタイガードライバー。泣きながらカバー、カウント2。福岡ムーンサルト、奥津ラリアット、さらに垂直落下式ブレーンバスター3連発。カウントは2.5。福岡をコーナーに上げ、雪崩式ノーザン、カウントは2。もう一度雪崩式ノーザンを狙う奥津。福岡はこれを場外に落とす。福岡はエプロンからトペ・コンヒーロ。リング内に戻り、奥津を叩き付けてムーンサルトの体勢に入る福岡。しかし奥津は起き上がり、たった一度福岡にフォール勝ちした時のようにコーナーから引っこ抜く形のジャーマン(しかしデルフィンスペシャルには移行できず)。今度は奥津が先にコーナーへ。福岡が追い、雪崩式パワースラム。そしてタイガードライバー、カウントは2。続いてムーンサルトフットスタンプ、これは奥津かわす。さらに福岡はタイガードライバー狙い、これを奥津がウラカン・ラナに切って取る。カウントは2。福岡投げっ放しタイガードライバー。またムーンサルトフットスタンプ、またかわされる。しかしもう奥津も反撃には移れない。福岡はタイガードライバー2発、しかしカウント2で自らフォールの体勢を解く。まるで、この試合を終わらせたくない、ずっと続けていたいとでも言わんばかりに。もう一発タイガードライバー、やはり2でカウントをやめさせる。福岡の顔は涙でボロボロ。しかしついに意を決したように投げっ放しのタイガードライバー、そしてうめき声を上げながらおおいかぶさる。もちろん奥津は返せない。そして3カウント。奥津の現役生活が終わった。

福岡(10分42秒 体固め)奥津
※福岡、2度目の防衛。

おおいかぶさったまま大泣きの福岡。やがて立ち上がり、マイクを取る。「すいません。タイトルマッチとしては・・・チャンピオンなのに・・・よくなかったです。・・・でも、奥津とできてよかった。もっと早くやりたかったです。」

こういった面も含めて「福岡晶」なんだな。


引き続き、キャンディー奥津引退セレモニー。まずはマスコミ各社からの記念品の贈呈。そしてファン代表・エクストリーム「全開」岡田さんの花束贈呈。ブルースターカップ決勝の相手・外山寿美代さんが卒業生を代表して花束贈呈。WOWOWからも記念品。電報の紹介。矢樹(実際は会場にも来ていたんだが)、ASARI、前川、府川&椎名、玉田から。
そしてBGMが「Dearest Days」に変わり、JWP恒例の選手による一本ずつのバラの花の贈呈。ここ9ヶ月でこれを3回も見るとは。若手は矢樹の時に比べると泣いている子は少ない。しかし福岡はやっぱり泣いている。最後に関西がメインに出るデビル、尾崎の分も渡してバラの花束完成。最後の最後にヤマモから記念品贈呈。両手で奥津の両肩をポン、ポンと叩き、別れのあいさつ。きっとヤマモにとってもJWP全体にとっても奥津という存在はひときわ特別だったに違いない。奥津の別れのあいさつ。「ファンの皆さん、関係者の皆さん、今まで6年間、本当にありがとうございました。次々選手がいなくなってる中で、自分まで引退してしまって申し訳ないんですけれども、残った選手に自分の分もがんばってもらいたいと思います。ほんとに6年間ありがとうございました。」そして別れの10カウント・ゴング。ゴングが10回鳴り終わると同時に投げ込まれる黄色の紙テープ。事前の周知運動が功を奏したか、本人の希望通り黄色のテープがリングを、奥津を包んだ。選手による胴上げ。腰をおもんばかって、3回目も落とすことはなしに、ゆっくり下ろす。黄色の紙テープの中、四方に頭を下げる奥津。そして拍手に送られて奥津はリングを下りた・・・・


紙テープの片付けのための休憩。メインはまた全然違う気持ちで見なければいけない。この休憩時間の間に気持ちを切り替えて、と。


第5試合 デビル雅美 20th Anniversary ACT3 -FUTURE-
スーパーヒール・デビル雅美 vs 尾崎魔弓

尾崎が先に入場。コスチュームはストリートファイトスタイルではなく、入場テーマも「Can't Catch Me」。天野が当然付き添う。デビルは「オペラ座の怪人」の「Overture」(だっけ?)で入場。片手にはどくろ付き杖。リングに入るとやはり千葉を襲う。20時5分、ゴング。動かないデビルの周りをゆっくりと回る尾崎。バックに回りジャーマンを狙うがデビルはブロックし、いきなりのパワーボム。強烈な一発。両者場外に出て、鉄柵への打ち付け合い。リング内に戻り、ラリアット、パンチ。尾崎これをかわして再度場外に落とす。尾崎は場外でジャーマンを放ち、セカンドロープからひねりを加えたトペコン、しかしデビルかわして尾崎は天野に激突。北側の観客席に尾崎を引きずっていくデビル。ステージ席でリフトアップするが、尾崎は投げられる前に着地、裏拳でデビルをしたに落とす。尾崎、そこから飛びついてスイングDDT。倒れたデビルにイスを投げつける尾崎。天野も協力して鉄柵まで投げる。尾崎リング内からエプロンに戻ってきたデビルに裏拳、デビルかわしてカカト落とし。そのまま外からコーナーに上り、尾崎をリフトアップ&スラム。ギロチンドロップは自爆。5分が経過。天野がリング内にイスを投げ入れ、尾崎がその上にデビルを投げようとするが逆にパワーボムをくらう。2カウント。デビルのラリアットをかわして尾崎テキーラ、デビルイスの上に落ちる。しかしこれも2カウント。ロープを使ったトペコンも2カウント。尾崎再度コーナーに上る。デビル後ろからラリアット。両者場外転落。宮口がデビルに杖を渡す。尾崎に振り下ろすが空振り、鉄柵を力いっぱい叩いてしまう。両者リング内へ。尾崎、ロープ際で裏拳連打。デビルはパワーボムで応戦。尾崎もDDT、テキーラと大技攻勢。デビルは尾崎をコーナーに吊るし、ヒザ蹴り連打。デビル、尾崎をコーナーへ。尾崎身をかわして逆に雪崩式バックドロップ。カウントは2。尾崎の裏拳をかわしてデビルはスリーパー。尾崎の足先がかろうじてロープへ。デビルのカカト落とし。2発目は尾崎かわしてデビルの足がロープに引っかかる。そこにまた裏拳連打。デビルダウン。しかし川崎レフェリーがダウンを数えるまでもなく「ムクッ」。裏拳をかわしデビルはタイガードライバーに。尾崎が空中でこれを切り返しエビ固め、デビルはさらに切り返して片エビに押さえ込み、3カウント。

デビル(11分48秒 片エビ固め)尾崎

「スーパーヒール」らしからぬ終わりかた。さらにまるで精根尽き果てたかのように後ろに倒れるデビル。セコンドについていた関西が駆け寄る。ひとことふたこと会話を交わし、顔のペイントを拭いて立ち上がると、そこにはスーパーヒールでない「デビル雅美」が。デビルはキューティー、宮口らセコンド陣をリング上に呼び、四方の観客に礼。キューティーは泣いている。

いきなり昼の部でとんでもない話を聞いてしまって、いったいどうなることかと思ったこの日の昼夜興行。選手の方は少なくとも見た目ではそれを引きずることなく試合を行い、この試みを成功させた。それだけでも選手全員に敬意を表したい。

The show must go on.

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