バトラーツ 97/5/21後楽園ホール大会



19時開始ということでかなりゆったりできる。客の出足も最初鈍かったものの、 最終的にはチラホラ空席が残る程度に(発表は1950人)。


第1試合 ミハイル・コバッチ vs 日高郁人

CWAジュニアヘビー級チャンピオンのコバッチ、確かにグラウンドの動きはよく、スープレックスもきれいに決まるがもうひとつぎこちない。一方日高はルーキーとは思えないハートの強さを見せる。だいたいテーマソングの「Go」(Asia)のサビの「Which way,Which way can I Go! 」のところでドアを力強く押し開けて出てくるなんてマネは並みの新人にできるこっちゃあない。試合の方は日高がマウントパンチからの十字でエスケープを奪い、逆にコバッチはストレッチボムでダウンを奪うという一進一退の展開。コバッチのパワーボムは日高が切り返し、ウラカンラナからヒザ十字。しかし二度目のトライはうまく決まり日高ダウン、8カウント。立ち上がったところにリバースDDT、そしてドラゴンスリーパーと決めてコバッチがギブアップ勝ち。

コバッチ(5分29秒 ドラゴンスリーパー)日高


第2試合 田中稔 vs アレクサンダー大塚

大塚はいつものように「AOコーナー」の「さあて、そろそろ青コーナーから~」のところで出てくる。この入場シーンはいつ見てもいい。田中はいつものB'z。グラウンドではやっぱり田中の方が上。再三ロープエスケープを奪う。かと思うとホウィールキックで大塚をダウンさせ、すかさず逆片エビに。次はフィッシャーマンバスターからやっぱり片逆エビ固め。大塚なんとか逃げる。まだスープレックスは出せないのか?このままでは負けるぞ、と思った瞬間、田中の蹴り足を捕らえてキ ャプチュード。低い体勢からバックを取ってジャーマン。田中ダウン。続いてドラゴンを狙うがこれは田中が飛びつき腕十字に切り返す。この動きで鼻を強打したか、アレクの鼻から大量の血が。それでもしつこくバックを取るアレク。田中はバックエルボーを打ち込もうとするがそれをかわしてバックドロップ。このチャンスにアレクはドラゴンスープレックス2連発。立とうとする田中だ が、9カウントでもまだ中腰な状態を見てタナベレフェリーは「10」を宣告。ついにアレクが田中から初勝利!むちゃくちゃ感動的なシーン。第2試合でこんなに盛り上がっていいのかというくらい盛り上がる会場。

アレク(14分19秒 KO)田中


第3試合 船木勝一vs小野武志

小野の入場テーマはわからなかったけど、船木のはU2の「New Year's Day 」。試合開始のゴングと同時に奇襲をかける船木。小野はかわし、タックルからマウントパンチ、背中を向けたところをスリーパー、逃れるとすかさず卍固めという流れるような攻撃。これに対し船木はバックを取られたところで急所蹴り。海援隊☆DXで身につけたものはそれかい(涙)。さらに関節蹴りを繰り出して船木が優位に。船木がフィッシャーマンバスターでダウンを奪う。立ち上がるのを待ってスワンダイブのドロップキック、これを小野はダウンから立ち上がったばかりとは思えない反応でキックで撃墜。さらにロー、ミドルそしてハイキックが顔面に。うつぶせに倒れる船木。5までカウントしたタナベレフェリーがカウントを止め、小野がTKO勝ち。試合後意識を取り戻した船木、完全にハイキックの部分は記憶が欠落したようで、自分が何で負けたのか全く理解してなかった。

小野(4分22秒 KO)船木


宮内美穂ちゃん&米山サトシ選手(欠場中、もうすぐ復帰)のインフォメーションコーナーをはさんで後半戦に。


セミファイナル 中野龍雄 vs 臼田勝美

この対戦、バトラーツ旗揚げ時に臼田が対戦を熱望していながら感情的なもつれで結局ここまで実現しなかったという「因縁」の対決。臼田はGary Mooreのちょっと前の名曲、「Blood of Emeralds」で入場。中野はおなじみの「あしたのジョー2」のテーマ。試合開始、中野は中央にどっしり構え、臼田がそれをタックルで崩すものの、中野すぐに切り返してつぶし、上に乗ってはリリース、という繰り返し。ようやく臼田がマウントパンチからスリーパーという絶好のチャンス。しかし中野は落ちついてレッグロックに取る。UWFでよく見られた動きだ。結局中野がエスケープ。ここで一気に攻めれば、の臼田だったけど、中野の防御は固く、一旦攻めに出るとそれは重い。ハイキックが臼田の側頭部に決まり、ダウン。臼田もグラウンドから三角絞めを狙ったりするが、片逆エビに 切り返される。最後は掌底の乱打でダウンのあと、立ち上がったところをさらにぶちのめして倒し、一気にスリーパー。臼田があっという間に落ちてしまい8分50秒、中野の勝ち。試合後マイクを握る中野、何を言うのかと思ったら「バトラーツの選手はみんなマジメで練習熱心です。皆さん、これからも応援してやってください!」なんていい人なんだ。

中野(8分50秒 裸絞め)臼田


メインイベント ビクター・クルーガー&ランボー vs 石川雄規&池田大輔

そしてメインはクルーガー&ランボーの2mコンビに石川&池田のバトラーツ「たぶん最強」コンビが挑むタッグマッチ。最初は石川、池田がどんなに攻撃しようとクルーガーの一撃で形勢逆転、これでどうやって勝てというの?という展開。しかしだんだん互角にぶつかり始める。石川の頭突きに怒ったクルーガーが場外に出てまで頭突きをやり返す。池田は鉄柱に全力でぶつける。半分キレたようなクルーガーのファイト。石川&池田はカットプレーの際に相手にダメージを与える作戦。特に池田のストンピングは単に相手の技をカットするのではなく、ランボーが一瞬戦意を喪失してしまうほどの強烈な物。バトラーツ軍の「バチバチ」とCWA軍の「バコバコ」が佳境に達したその時クルーガーはついに石川をハイアングルパワーボム。そしてランボーに。ランボーも続いてパワーボム、これはやっとのことで石川が切り返す。池田を呼び込む石川、池田のミドルキックがランボーの胸板に炸裂、そしてソバット!ランボーはダウン。石川バックを取る、池田がキック、石川その勢いで一気にジャーマン。ここで何を思ったかクルーガーはカットには入らず本部席のマイク を奪ってがなりたてる。石川チャンスを逃すまいと一気にランボーをステップオーバーアームストレッチ(猪木がアンドレからギブアップを奪った技)に。ランボーしばらく耐えたがついにギブアップ。

石川(16分48秒 ステップオーバーアームストレッチ)ランボー

2mコンビついに初黒星。荒れ狂うクルーガー。場外に池田を突き落とし、イスを振り上げる。若手が何とか制止する。リングに戻ったクルーガー、赤鬼のような顔をして石川を睨みつける。が、そのままの顔で手を出して握手。なんだ、いい奴じゃん。
石川社長マイクを握り、「これから、俺たちは、壁がどんなに厚かろうと高か ろうとぶちりぶちやぶってみせる!」と叫び「だあーっ」しかしこれはOFFマイク。「すいません、頭打っちゃってわかりません。」「だあーっ」なんかやっぱりサスケ社長と近いものを感じるな。とにもかくにも思いっきりいい形で後楽園興行を終えることができたバトラーツ、必ずしも週プロの書く「バチバチ」な試合ばっかりじゃないけど、じっくり見てれば面白いことが続出する団体だ。



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