新日本 97.11.3福岡ドーム大会



福岡ドームに着くと、まだ屋根は開いたまま。14:50くらいからしだいに閉じ始める恒例の儀式。屋根が完全に閉じ、一旦暗くなったあと、照明がついて即開始、ならカッコよかったんだが、「オープニングテーマ」というワンクッションあり。

ドームツアー最終戦とあって、正規軍全選手がリング上に揃い坂口社長のあいさつ。で、なぜか君が代の吹奏。「国旗に向かえ」というのでセンター方向を見ると、左から日の丸、日刊スポーツの旗、新日本の旗、nWoロゴ、アメリカ国旗。なんで日刊スポーツの旗に敬意を表さねばならんのだ?

試合順は直前で健介vs長州が休憩前からセミ前に変更。


第1試合 飯塚高史&藤田和之 vs エル・サムライ&ケンドー・カ・シン

静ーかな立ち上がり。大技もほとんど出ない。藤田とカ・シンの絡みに期待していたのだが、それはリング内ではあまりなく、なぜか花道で殴り合いから藤田がカ・シンをワキ固めに。その間に飯塚がサムライのウラカン・ラナをパワーボムに切り返し、裏投げ、ブリザードとつないでフォール勝ち。カ・シンは「タッグマッチモード」というか何というかあんまりやる気が感じられず。


第2試合 野上彰&木村健悟 vs ヒロ斉藤&後藤達俊

オリジナルの「nWoテーマ」(私はこの曲好きではない)で入場するヒロ&後藤。しかしこれではレイジングそのまま。健悟、試合開始直後からいきなりイナヅマ。大阪ドームの時もそうだったが、この人は前の試合が静かだといきなりの大技から入って客を盛り上げようとする。中盤は花道ラリアット、花道セントーンなども出てレイジング組優勢。しかし最後はムササビボディプレスからイナヅマ+ジャーマン合体技で野上がヒロをフォール。マシンか保永が乱入しないか、と思ったが、そんなことは当然なし。


第3試合 獣神サンダーライガー&タイガーキング vs 金本浩二&高岩竜一

金本のロングガウンの背中には赤い星に「金本」の文字。このへんのセンスは本人のものなのだろうか?なんか田舎の暴走族っぽいなあ。タイガーは金本にソバット、タイガードライバー(元祖)、フライングクロスアタックと攻め込む。しかしアームロックに行こうとしたところをヒザ十字に固められる失態。タイガーは中盤にもフェイントのロープくぐりに失敗。この辺とやる時は昔のタイガーマスクは捨てて臨んだ方がいいと思うが。高岩、ライガーにもちつきから3発目ライガーボムやデスバレーで2カウントは奪うが、掌底から雪崩式垂直落下ブレーンバスターで逆転負け。最後のカットはタイガーの動きもよかった。これも「タッグマッチモード」かなあ。


第4試合 安田忠夫、中西学、小島聡 vs スコット・ノートン、天山広吉、小原道由

再び「nWoテーマ」が鳴り響く。しかし小原はやはり場違い。安田は坂口のガウンで入場。試合でもカウンターキックなど、体を生かした技で会場を沸かす。なぜか天山には小島(モノマネ連発)、ノートンには中西、小原に安田という担当が決まっていたようだが、最後ついにノートンと安田が対峙。しかし3人連続コーナーラリアットからノートンのパワーボムで安田フォール負け。


第5試合 ジュニア7冠選手権試合
大谷晋二郎(王者)vs ワイルド・ペガサス(挑戦者)

ペガサス、強烈なバックドロップで先制。大谷は低空ドロップキックから足攻めで反撃。これがかなり長い時間続き、さすがにペガもダメージ負ったよう。12分くらいからペガの大技攻勢。連発でドラゴン、ダイビングヘッド、雪崩式バックドロップ。大谷はハネ返す。大谷、スーパーパワーボムは必死に抵抗してブロック、2発目の雪崩式バックドロップは空中で切り返す。大谷はこのワンチャンスにスワンダイブ式ニールキック、ドラゴンスープレックスの得意パターンで難敵ペガサスに完璧フォール勝ち。「2カウントの応酬」を期待した向きには拍子抜けだったかもしれないが、いい試合。


ここで休憩、のはずが田中リングアナがリングに。ということは、当然猪木の登場。あいさつは「政治・経済が混迷を極める中、新日本プロレスが灯りをともすため、来年世界的な大イヴェントを計画しています」とか何とか。で、本家1、2、3、ダァー。


第6試合 ドン・フライ vs 山崎一夫

フライのセコンドにはレインガンズ。フライ、山崎と対面するやツバ。試合でもおなじみのロープブレーク無視に加え、グラウンドで耳に噛みつきなど「ヒール演技」大爆発。山崎のキックはすべてサバき、ワキ固め、アキレスなどに取られてもちゃんと切り返すなどテクニックもあるんだから真面目にやればいいのに。しまいにゃレフェリー田山をひっぱりこむというニック・ボックウィンクルばりの反則行為のフライ。これに毅然とした処置の取れない田山。試合前に「○○は反則です」と言った「ルール説明」はいったい何だったのか。最後はガードの上からパンチ、亀になったところをスリーパーで山崎タップ。しかしフライはまた放さない。見方によれば安生以来の大ヒール、ということになるかもしれんが、「異種格闘技戦」に果たしてそんなギミッ クが必要なのかどうか。


第7試合 小川直也 vs エルウィン・フレークル

何をしてくるかわからないフレークルに小川及び腰。しかしその立派な大胸筋が邪魔してか大したパンチは出ない。小川、片足タックルで倒すとうつぶせのフレークルに乗っかる。フレークル、小川が何を狙ってるかが全くわかってない。そのまま小川がひっくり返して腕ひしぎ十字固めに。あえなくギブアップするフレークル。何だよこのくわせ物は。


第8試合 長州力 vs 佐々木健介

試合開始から何度も何度もロックアップしてはブレークする両者。健介のチョップにパンチで対抗する長州。5分過ぎ、長州が早くもラリアットからサソリ固め。長州は自らリリースしてブレーンバスター、そして雪崩式ブレーンバスター。長州ラリアット。健介倒れない。もう一発。長州カバー、カウントは2。もう一発、カウント2。さらにもう一発、やはり2。両者ダウン。長州、健介を見ながらゆっくりと立ち上がる。そこに健介がダッシュして逆襲のラリアット、しかし長州はカウント1でハネ返す。健介はノーザンライト・ボム、雪崩式ブレーンバスター。10分が経過。健介ラリアット4連発。長州はいずれもカウント1で返す。ならば、とノーザンライト・ボムをはさんでもう一発ラリアット、そしてカバー。長州がカウント2でかすかに動いた ようだったが、返すことはなく3カウント。長州、健介を見やってから一旦大の字になり、立ち上がる。そして健介の頭を抱き、静かにリングを去る。健介は退場の途中でこらえきれなくなり泣き出し、立ち止まってしまった・・・。


第9試合 橋本真也 vs フーベルト・ヌムリッヒ

この試合はラウンド制。橋本、序盤からパンチ、キックをくらい、ダウン。さらにパンチが負傷した左ヒジに当たってかなり痛そう。しかしヌムリッヒを倒してアキレス腱固めに取ったところで1ラウンド終了。2ラウンドも足攻め。アキレス腱固めからヒールホールドを狙うがヌムリッヒはロープへ。橋本、ヌムリッヒの腕を取って一本背負い。ヌムリッヒ、肩からマットへ。そのまま袈裟固めから相手の腕を足で固めて橋本の勝利。マイクを取って叫んだ言葉は、「もっともっと強い奴とやりてー! 強い奴呼んでこい!」客に言わずにフロントに言ってくれ。


第10試合 蝶野正洋&武藤敬司 vs 藤波辰爾&天龍源一郎

スクリーンに「nWo japan」のプロモビデオ。ださ。藤波・天龍組の入場テーマは「サンダーストーム」と「ドラゴンスープレックス」のミックス。花火も派手。しかし試合は地味。nWoらしさも場外に落ちた天龍に天山が手を出し、逆にチョップをくらった程度。天龍をどうすることもできずに藤波に的を絞ったnWoは武藤がドラゴンスクリューから4の字、蝶野がSTF。天龍がカット。武藤がフェースクラッシャー連発から蝶野またSTF。天龍を武藤が押さえる間に藤波ギブアップ。なんか意味の弱い試合。



こんなカードでも4万近くは集まったわけだし、周りを見渡す限りは客もおおむね満足していたようだけど、個人的には大不満な福岡ドームだった。



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