RINGS 98.7.20 横浜アリーナ大会



ただでさえ使いづらい新横浜駅が工事中のため通路片側閉鎖。1万数千人押し寄せただけで大混雑。全く何やってんだか。増強工事だとしても遅すぎる。横アリできてから何年になるよ!

13時50分横浜アリーナに着。今日のはYFCで招待券出てんのかあ。Jd'みたい。会場入り口の花輪をチェックすると、猪木、高田、藤波(「前田明様へ」だったが)、矢沢永吉、稲葉浩志他まさに多士済々から来ていた。

14時になってもリング上では選手が練習。始まる様子なし。リング上のビジョンでは繰り返しWOWOWの番宣(前田vs山本)ビデオが。

14時15分、ようやく「まもなく試合を開始いたします。」のアナウンス。その後すぐ場内暗転、古田リングアナから最新ランキングと今日のカードが発表になり、開始。

全選手入場式。この時点で入りはほぼ満員。山本が髪を金に染めており、どよめきが上がる。前田の入場で「マエダ」コールが起きるが、特にあいさつはなし。


第1試合 ギルバート・アイブル vs アリョール・ベーコフ(5分2ラウンド)

RINGSロシアのベーコフのセコンドにはハン。一方のアイブル(RINGSオランダ)はオランダ大会で評判のよかった選手か。アイブルがヒザで先制。ベーコフはこれを受け止めて倒す。ブレーク。アイブル掌底を繰り出す。速い。アイブル飛びヒザ蹴り、ベーコフはキャッチしてアキレス腱固め。アイブルはエスケープ。アイブルまたもヒザ蹴り、顔面にヒット。。ベーコフダウン。立ち上がるが、10カウントにならんとするのに戦闘意思を見せない。結局和田レフェリーがストップした形に。

アイブル(1R 2分28秒 レフェリーストップ)ベーコフ

とにかくアイブルの動きが速く、なんかあれよあれよと言う間に(言ってないけど)決まった感じ。でも双方の持ち味は出たんだか出てないんだか。


第2試合 ボリス・ジュリアスコフ vs クリストファー・ヘイズマン

ジュリアスコフは長髪の前髪を田村亮子みたいに止めていて、妙に気になる。さらに打撃の構えが「本で船木のを見てマネしました」という感じでこれまた気になる。またまたさらには蹴るつもりがあるのかないのか「ぴょん」とジャンプするのがすごーく気になる。しかし打撃はどうもダメダメ系なジュリアスコフ、レスリング出身らしくグラウンドではいい動き。ヘイズマンに何もさせない。さすがブルガリア。しかしこういう展開だとRINGSの客はなぜかヤジで会話を始めてしまう。これがイヤで来るのやめてたんだが、まだやってたのか(明らかに同じ人間もいる)。グラウンドでは全然歯が立たないヘイズマン、スタンディングの打撃に活路を求める。まずは前蹴りでダウン。ここでどうしたのかドクターが入ってジュリアスコフを診ている。しかし立ち上がり、試合再開。が、ヘイズマンは掌底連打でガードのできなくなったジュリアスコフから立て続けに2ダウンを奪い、合計3ダウンでTKO勝ち。(20分1本勝負ルール)

ヘイズマン(8分46秒 TKO)ジュリアスコフ

確かにどっちも打撃とグラウンドの片方しかできなかったけど、人の観戦意欲まで失わせるようなバカ野次は何とかならんもんか。あと、このヘイズマンにヤマケンが負けたっつーのはなあ。ちょっと信じられん。グラウンドヘタクソじゃん。


第3試合 ポール・ヴェアランス vs ヨープ・カステール

リングスでもキングダムでもその真価の(つーか、少なくともUFCで彼の名を成した)荒々しさを見せられずじまいのヴェアランス、三度目の正直かRINGS上陸。しかし相手は伸び盛りのカステール。双方スタンディングで打撃の応酬。カステールの方が有効打が多い。ヴェアランスの得意分野ってグラウンドじゃねーのかなんでヘタな打撃を続けるんだとこっちがイライラしてるのに一向に打撃モードをやめないポーラー・ベア。これで打撃がヒットすればダウンした相手に組み付いて、という展開もあったろうが、全然ヒットしないんだからチャンスも生まれない。苦し紛れに出した前蹴りはカステールの金的に命中。飛び込んだセコンドのアイブル、こともあろうに水をタイツの中に注ぐ。オランダ式急所治療法はこうなの?とにかくこれによりイエローカードをもらったヴェアランス。逆にカステールは掌底でコーナーに詰めてさらに連打連打。ヴェアランスがカステールの首を取ってネックロックに。一瞬会場がどよめくがカステールはうまく脱出。またカステールは掌底連打。コーナーに詰まったヴェアランス、スタンディングダウンが取られる。カウント進む。しかしヴェアランスやる気なし。

カステール(7分57秒 KO)ヴェアランス

ヴェアランス、UFCの猛者としてECWに出てた辺りが花だったのか?もう誰も呼ばないだろうな。


第4試合 ディック・フライ vs 金原弘光

ディック・フライの強さに翳りが見えて来て、今や「フライ」と言えばドン・フライしか指さないようになっちゃってるが、この試合はどうなるのか?身長もウェイトも大きな差がある金原のガードが妙に高く、ワキがガラ空き。こりゃオイシイとばかりにフライがミドルキックを放つと金原待ってましたとこれをキャッチ、すぐマウントに。ワナだったのか?凄いよなあ。フライのミドルなんて十分つかめると踏んでるんだから。金原バックを取ってスリーパーに行くが、フライはロープエスケープ。再びスタンドから。フライ、ヒザ蹴り、ソバット。金原大きく後退。しかしすぐにハイキックで反撃。フライは掌底。金原かわして足を取り、またマウント。一旦体を離すがフライこのスキに動くことなく金原の十字に捕らえられてしまう。まさに極まるという寸前でロープエスケープ。金原ミドルキック、飛びヒザ蹴り。フライ反撃のキック、しかし勢い余って転倒。衰え?金原ローキック、フライもローで返す。金原フライをグラウンドに持ち込むとマウントから十字狙い。フライが逃げようと体を反転させるのを逆に利用してガッチリ決めてギブアップ勝ち。

金原(4分19秒 腕ひしぎ十字固め)フライ

金原の圧勝。フライの逃げ方があまりにもマズかった。もう「強いディック・フライ」は見られないのか?


ここで休憩。休憩明けに来賓席が紹介される。アントニオ猪木、天龍源一郎、藤原喜明、山本小鉄、平田淳嗣、高田延彦、山崎一夫(この二人が隣同士の席に!)、ドン・中矢・ニールセン、アニマル浜口、シーザー武志、大山未亡人の代理、松井章圭(この2人は離れたところに)の各氏。なんつー豪華つうか強そうな来賓席だこと。しかし田中正悟の姿はない・・・・・


第5試合 ヴォルク・ハン vs 山本健一

金原も山本も「リングス・ジャパン」かあ。一気に層が厚くなった感。ヤマケンがローで先制、ハンはすぐにその足を取ってアキレス腱固め。ヤマケンもアキレスで返す。ヤマケンはアンクルホールドに移行、ハンは自分の手を放し転がってロープエスケープ、かと思ったらロープ際まで来たとこでヤマケンの腕を取って十字に。ヤマケンがエスケープ。ヤマケンミドルキック、ハンはまたキャッチして逆側のヒザに蹴りを入れてからアキレス腱固め。ヤマケンはこれを脱出し、十字狙い。グリップが切れないと見るや、一旦マウントの形からアームロック、そしてまた十字に。ハンは回転してこれをかわすと逆に十字。ヤマケンエスケープ。両者スタンド。ヤマケンのハイキックがヒット、これでダウン。ロストポイントは一気に同点に。カウント7で立つハン。ヤマケンがソバット、ハン受け止める。ハンはアームロック、ヤマケン切り返して十字に。ハン脱出。ヤマケンはガードポジション。下から三角絞めに。ハンロープエスケープ。ヤマケンはボディにパンチ、ハンは距離を狭めてブロック。ヤマケン飛びつき十字狙い、ハン押しつぶす。さらにノドに腕を当ててギロチンチョークに行くハン。ヤマケンが嫌うと両腕を自分の両腕で交差させて固める。ヤマケン逃げる。すると足に狙い。変形4の字からクロスヒールホールドに。ヤマケンはアンクルホールドで切り返す。ハン脱出すると十字狙いからまたアキレス腱固めに移行。ヤマケン逃げ、逆にマウントを取る。ここでようやく5分が経過。ヤマケン腕ひしぎ腕固めから十字に。ハンエスケープし、2ダウン。20分1本勝負のためあと1ダウンでハンは負けになる。ヤマケン掌底でラッシュ。ハンは組み付く。ヤマケンぶん投げてヒザ十字に。ハンは起き上がると腕を取ってV1アームロックから十字に。ヤマケン腕が伸び切っているのにこらえるこらえる。大丈夫なのか、腕は?何とか脱出するとヤマケン逆に十字に。しかしハンは難なく体を起こすと「腕でダメなら」と足を取って引っくり返し片逆エビ固め。ヤマケン無念のギブアップ。

ハン(8分24秒 片逆エビ固め)山本

まだまだハンに余裕があったような気もしなくもないが、山本大健闘。しかしあの十字は極まってなかったのかなあ?不思議だ。根性だけでしのげるもんでもあるまいし。


第6試合 田村潔司 vs 坂田亘

四つ(相撲の)に組む両者。坂田首投げ、田村倒れない。坂田足取ってグラウンドに。田村自由にさせない。田村下から坂田の両腕をかんぬきに。坂田脱出。ちょうどガードポジションの形。坂田は体を移動させてアームロック狙い、田村は半回転して外す。逆に田村がマウント。サイドマウントに移行すると坂田あわててにゲル。田村立ち上がり腕を極めに行く。坂田引っくり返して上になる。足を取ってヒザ十字に。田村回転して上になる。が、自らブレークしてスタンドに。拍手が起きる。田村ローキック。坂田がぶりからグラウンドに持ち込みヒザ十字狙うが田村ブロックしてサイドマウント。坂田はガードポジションから三角絞めを狙うが田村外して十字狙い。5分経過。坂田の胸の辺りにヒザを立てて乗る田村。坂田が身をよじって逃げようとすると上から押さえつけてチキンウィングアームロック。坂田が抵抗するとアームベンド。回ってヒザ十字。鮮やか。坂田はヘッドシザースに田村を捕らえて脱出。坂田がぶる。ネックロックに。田村抜いてスタンドに。掌底打ち合い、田村ロー、前蹴り。首投げから上に乗るが再びスタンドに。坂田バックブローからハイキック、ヒザ、掌底と攻め込む。田村もハイキック、ヒザ、ハイキック。坂田ダウン。9カウントで立ち上がる。田村胴タックルで抱え上げ水車落とし。すかさずヒザ十字からアンクルホールドに。坂田エスケープ。田村、坂田の攻めをいなして上に乗り十字固めからクルックヘッドシザース。また十字。坂田エスケープ。スタンドで掌底の打ち合い。坂田ニールキック、これはヒット。坂田スロイダーで投げて十字、田村起き上がると逆に十字。坂田ギブアップ。

田村(9分48秒 腕ひしぎ十字固め)坂田

うーむ、熱戦。確かに田村が危うい場面は少なかったが、かと言って坂田が一方的に攻められていたわけでもない。坂田は今いい感じかも。


第7試合 RINGS無差別級選手権試合
ビターゼ・タリエル(王者)vs 高阪剛(挑戦者)

重戦車タリエルが前進。高阪なんとかタックルに行こうとするがあっさりつぶされる。タリエルはさすがにデクではない。正拳が高阪のボディに突き刺さる。高阪タックル、また切られる。高阪ローキックで行くが、タリエルはずんずん前に出て正拳、ヒザ、ミドルを叩き込む。高阪早くも1つ目のダウン(スタンディングダウン)。カウントは9を数えた。タリエル立ち上がった高阪にロー、正拳。高阪またダウン。また9。高阪、タリエルのカカト落しをかわしてタックルで倒し、バックを取るやスリーパー。しかしロープに逃げられる。タリエルはまたスタンドでロー、正拳、カカト落し(今度はヒット)、正拳。しかし顔面に当たったのかイエローカード出る。タリエル色気を出してソバット。高阪かわしてグラウンドで組み付く。マウントから十字に行くがまたロープエスケープ。よせばいいのにタリエル今度はニールキック。高阪もちろんかわして十字に行こうとするがなぜか取り逃がしてしまう。タリエルはコーナーに高阪を詰めて正拳連打。高阪ロー、タリエルカカト落し。高阪かわしてテイクダウン、引っくり返してサイドマウントの体勢からV1アームロック。タリエルエスケープ。スタンドから高阪を捕らえるやヒザ、ヒザ。コーナーに詰めてヒザ、正拳、ヒザ。高阪ダウン。これには和田レフェリー10カウント数えるまでもなくKO宣告。

タリエル(7分43秒 KO)高阪
※タリエル防衛。

タリエルが試合後のインタビューで語っていた通り、高阪のタックルをつぶせたのが勝因だろうなあ。


第8試合 前田日明RINGSラストマッチ
前田日明 vs 山本宜久

大「マエダ」コールの中入場する前田。山本は平静に見える。古田リングアナのコールにはいつも以上に力がこもっている。ゴング。前田はまず掌底、山本はヒザで対抗。山本ローからミドル。前田も返していく。山本ミドル、前田その足をつかんでホイップ。(ドラゴンスクリューというほどは回ってなかった)山本ガードポジションを前田はサイドに移行するが、自らブレーク。山本ロー、ハイ、ローと出す。ハイは胸板にヒットするが、前田構わず前進。山本ロー、前田ミドル、これは効いたよう。山本ミドル、ロー。両者ローキックの打ち合い。山本が蹴り足を取ってテイクダウン、バックを取る。前田亀になる。山本足を取って引っくり返す。前田下から蹴る。山本マウントからまたバックを取る。前田また亀。今度は山本崩すことができない。前田下からアームロックに。もつれてロープブレーク。5分経過。山本ミドル、前田足を取って倒す。山本は下から三角絞め狙い。前田は首を抜くとサイドマウント。膠着したため和田レフェリーはブレークを命じる。山本掌打からハイ、前田ダウンごまかしタックル。すぐに立ってミドル、正拳。山本もボディに掌打を浴びせる。前田タックル、山本切ってがぶりに。しかし前田そのまま押し倒す。山本切り返してバック取る。前田再度切り返すが、山本は足を取ってアキレス腱固めに。前田も取り返す。山本はアンクルに行こうとするが失敗。山本、前田のアキレス腱固めから脱出するとバックを取る。前田また亀。ブレークが命じられる。山本ミドル、前田足取って倒す。前田が足を取るたびキャプチュードを期待する声が上がるが、それをやらせちゃあ山本の立場がない。山本ガードポジションに。10分経過。20分一本勝負なので、もう「折り返し点」だ。山本下からアームロックに行こうとするが断念、次は十字、これも前田ブロック。前田は自らブレーク、スタンドでのシバキ合いを選択。山本掌打、前田ミドル。山本ロー、掌打。前田また疑惑のタックル。和田レフェリーがブレーク。前だ「目に入った」と主張。試合が中断、ドクターが入るがすぐ再開。ローの打ち合い。前田の方が強烈なようだ。前田ヒザ蹴り連打から掌打。山本も掌打打ち返す。山本ミドル、前田足取って倒す。前田ケサ固めに行くが、そのまま膠着。山本足を掛けて返そうとする。前田肩固め。山本エスケープ。これが両者初のロストポイント。山本ロー、掌打連打。前田かいくぐってタックルから上に。15分経過。山本下から十字固め、前田エスケープ、これで同点。掌打打ち合い。山本ロー、ミドル。前田は山本のタックルをつぶすがグラウンドには行かない。山本ローから掌打。顔面にヒット。前田鼻血か?前田も掌打、ボディブロー連打。山本は前田のタックル切って掌打。前田またタックル。山本の上に乗る。山本エスケープ。ここでまた差が付いた。しかし前田はフラフラ。山本ミドル、前田足取って倒す。山本エスケープ。1ダウンの差。しかし山本は掌打を顔面に連続ヒットさせ、ダウンを奪って追いつく。カウント9で立ち上がる前田。山本そこにミドル、掌打。前田もミドル、ボディブロー。山本の掌打ヒット。前田ダウンごまかしタックル。残り30秒のコール。まさにシバキ合い。前田がヒザを入れたところでタイムアップ。審議委員の判定に。堀米奉文、ウラジミール・パコージン、ニコラ・ザハリフの三巨頭の会談がなんか長引いている。和田レフェリーもとまどう様子。堀米審議委員長がリングに上がり「前田の勝ち」をアナウンス。ブーイング起きる。

前田(20分時間切れ、判定勝ち)山本

前田マイクを取って「今日はプロの試合ができませんでした。山本に勝ちをあげて欲しい。」と。しかしそれで判定が覆るわけもない。そそくさと「RINGSに別れを告げる前田選手への」10カウントのゴングが鳴らされ、前田は一旦リングを去る。客電が付かないのでまだ何かあるのだろう、とみんな思い、席を立たない。山本がマイクを取る。「今日はどうもすいませんでした。これからも前田さん抜きでも盛り上げていきますのでよろしくお願いします!」

天井のビジョンは控室前でインタビューを受ける前田を映しつづけている。女性の声で「前田さん、一旦中断してリングへ。」「あ、わかった。」前田がリングに戻ってくる。しかしアナウンスメントもテーマ曲もなし。最後のあいさつはここまでに世話になった人の名を挙げ、(新間の名前も)その人達に対する謝辞を順を追って。しかしここでも田中正悟の名前がない。あいさつが終わるとRINGSメンバーが前田を胴上げ。おそらく前田の要望なのだろう、華美なものが何もないセレモニー。これでは「引退」とは思えない。



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