前田引退試合 "The Final"



1:30ちょうどに会場暗転(結局客電は落としたまま。このせいで細かいメモ取れず)、いつものように古田リングアナからRINGSオフィシャルランキングが発表。当初言われていたのと違って、やはり「通常の」RINGS興行として行われることになったわけね。

全選手入場式。カレリン(左写真の左端)はやはりデカい。そして前田が最後の入場式。

この大会から「グラウンドでのボディへのパンチは有効」になったそうである。


第1試合 滑川康仁 vs 上山龍紀(U-FILE CAMP)

上山も滑川も入場テーマは日本語のラヴソング。闘いの場に臨むってのに「お前を抱きしめて」だの「愛してる」だのの歌詞の入った曲を使うセンスは理解不能。生放送の始まる2時のちょっと前に試合開始。上山再三タックルに行くがすべて滑川に切られ、上になられる。そのたび膠着。8分過ぎ、消極性からか上山にイエローカードが出る。手数で上回る滑川、10分にはマウントポジションを取るが、攻勢は取れずブレーク。滑川ジャンピングキック、空振りするがここまでの展開に飽きていた会場はこれで沸く。しかし上山のキックを滑川がキャッチしてグラウンドに持ち込むとまた膠着。バカな野次の的に。結局20分時間切れ、イエローカードの1ポイントにより滑川の勝ち。

滑川(20分時間切れ優勢勝ち)上山


第2試合 山本宜久 vs アンドレィ・コピィロフ

コピィロフが序盤から十字固めでエスケープ連取。さらにカニばさみからアキレス腱固め、山本はこれを切り返してマウントに。山本十字、コピィロフエスケープ。コピィロフヒザ十字、山本エスケープ。山本バック取ってスリーパー、コピィロフエスケープ。十字の掛け合いから山本マウント取ってヒザ十字に(左写真)。コピィロフヒザ十字に切り返す。5分経過。

山本さらに切り返して十字狙い、コピィロフはヘッドシザーズで切り返す。両者ブレーク。コピィロフバックからハーフネルソン。山本エスケープ(山本4つ目)。山本上になり、マウントポジションから三角絞めに。コピィロフブレーク。山本スタンドからヒザ蹴り。コピィロフカニばさみからヒザ十字。山本脱出してバックを取るとスリーパー、コピィロフタップ。

山本(6分55秒 スリーパーホールド)コピィロフ


第3試合 RINGSランキング戦
ヴォルク・ハン vs ニコライ・ズーエフ

ハン、蹴りで先制。ズーエフも蹴りで対抗。ハン腕を取る(左写真)。ズーエフ力で外す。ズーエフ突っ込む。ハンがカウンターの掌底、これが見事にヒットしズーエフダウン。ハンさらにバックブローから掌底、ズーエフバック取って十字狙い。ハンはアキレス腱固めに切り返す。ズーエフエスケープ。

ハンスリーパー、外して十字に移行。ズーエフ返す。ハン切り返して足を絡めていく。毎度のようにわけのわからんヒザ固め合戦に(右写真)。ズーエフ外してバック取りリバースバイパーホールド。ハン脱出してズーエフの足を自分の両足で固めると、さらに首も取って締め上げる。ズーエフタップ。

ハン(4分49秒 足絡みフェースロック)ズーエフ
※ランキング変動せず。

上のようにコールされたけど、この技はプラムがJWPでマネして「フィッシュストレッチスリーパー」って言ってた奴だよな。懐かしい。


第4試合 坂田亘 vs ショーン・アルバレス

20分1本勝負、6オンスのグローブを付けて顔面パンチあり、イエロー2枚あるいはレッドカードで即失格というルール。アルバレス突っ込んで坂田を倒す。そのまま上に。坂田はしがみつきながら下からコツコツパンチを当てる。アルバレス動かない。こうして相手のスキを待つうちに5分が経過。アルバレスが横に移動を図るがまた元の体勢に。アルバレス肩固め狙い、しかしまた元の体勢。10分経過、つにアルバレスがマウントポジションに。坂田下から捕らえてパンチ打たせない(しかし逃げることもできない)。15分、坂田TKシザーズ試みるが失敗。アルバレス上体起こしてパンチ狙う。今度はシザーズ成功し、引っくり返す。ブレークした坂田、タックル狙うが切られ、バック取られる。アルバレス引っくり返すが坂田ガードポジション。坂田ネックロック、アルバレス外す。アームロック狙いも不発。そして時間切れ。

アルバレス(20分時間切れ、審議による判定勝ち)坂田

ま、判定はそうだろうな。


第5試合 金原弘光 vs ヒカルド・モラエス

この体格差。もちろんモラエスはパンチを振るいながら突っ込んでいく。金原これをかわしてタックル、しかしモラエスはがぶって強引にバック取る。金原ロープつかむ。レフェリーこれを外させる。モラレス上になる。金原ガード。モラレス脇腹にパンチ、たまに顔面にも。ロープ際に来たため「フリーズ」かかり、位置移動。金原が動こうとするがモラレス体重を掛けて動かさない。5分経過、またロープ際に来てフリーズかかる。モラレスサイドマウントに移動して顔面パンチ、金原すり抜けるように脱出、立ち上がる。金原の顔がちょっと腫れている。金原タックル、また切られモラレスが上に。10分経過。

金原のガードポジションからモラレスが片足抜く。金原足ではね上げようとするが失敗。金原下からパンチ。モラレスが足を外そうとしたスキに金原上体起こして逃げる。モラレスバック取るが金原逃げる。金原タックル、また切られる。モラレスバック取ったまま膠着(左写真)。15分経過。金原ロープを背にネックロックに行くが逃げられる。またガードポジション、モラレス上から圧迫。金原身をよじって脱出、立ち上がる。モラレスパンチ、キック。金原かわしてタックル、足を取る。場内盛り上がる。モラレス抵抗して固めさせない。金原サイドマウント、モラレスが返したところで時間切れ。

モラレス(20分時間切れ、審議による優勢勝ち)金原


第6試合 田村潔司 vs ヴァレンタイン・オーフレイム

田村、いつものように四方に深々と礼(右写真)、しかしその後オーフレイムにはガンを飛ばす。ゴング。オーフレイムローキック、ハイキック。田村もキック出す。オーフレイム掌底、田村ガクッとダウン。カウント7で立ち上がる。

オーフレイムタックルからサイドマウント取ってヒザ十字に。田村切り返してマウント取る(左写真)。ボディにパンチ入れて十字狙うがオーフレイムはブロック。オーフレイム足を取る。田村立ち上がるがオーフレイム足を放さずドラゴンスクリューのように足をひねって田村を転がす。田村三角絞めから十字固め。オーフレイムエスケープ。田村ミドルキック、オーフレイムキャッチ。田村回転してグラウンドに持ち込む。しかしオーフレイムは上から押さえつけていく。田村立ち上がる。田村、すばやく回転して相手の腕を取るや十字に。オーフレイムブロック。田村逆に回って十字。オーフレイムが上体起こすと田村は足を取ってヒザ十字。オーフレイムエスケープ。

スタンディングからオーフレイムはハイキック、ヒザ蹴りとヒットさせダウンを奪う。田村2ダウンでピンチに。しかもカウントが9まで進む。5分経過。オーフレイム前蹴り、田村掌底、ハイキック。田村コーナーに詰めて腰投げ、オーフレイムこれをつぶす。田村ガードポジション、オーフレイム足取って逆片エビに。田村ハネ返して上になるとヒザでオーフレイムを押さえつける。田村十字、オーフレイムブロックするが田村クラッチを切る(右写真)。オーフレイムギブアップ。

田村(6分8秒 腕ひしぎ十字固め)オーフレイム

田村マイク。「今日はこんなにたくさんの人が集まっていただいて、まことにありがとうございます。今日、前田さんが引退されるわけですが、僕はUスタイルとRINGSスタイルを自分で守って行こうと思います。(拍手)今日、夢と感動を与えてくれた前田さんが最後の試合を行います。みなさん、前田さんに、最後の応援、声援を精一杯お願いします。」


第7試合 前田日明引退試合
前田日明 vs アレクサンダー・カレリン

試合前に正式ルール発表。2ラウンド終了後の延長はなし、終了時のポイント差あるいは審議による判定で勝負が決する。6ロストポイントでTKO負け、グラウンドでの打撃は禁止(つまりスタンディングならOK)、というもの。

カレリンの今日の体重は134kg。ついにゴング。1ラウンド。前田はローから入る。カレリンひるむことなく前に前に出てくる。前田ハイ、ロー。前田タックル、カレリン切ってがぶる。まさに「子供扱い」、前田を転がしてバックを取る。前田切り返す。ロープ際でもつれてブレーク。

前田ロー。懐に入って一本背負い狙うが失敗、カレリンがバックを取る(左写真)。カレリン前に回ってがぶりからネックロック。前田脱出するが、カレリン立ち上がると前田の足を逆エビ固めに入るかのようにつかむ。前田逃げる。ロープブレーク。前田立ち上がってロー。カレリンがぶる。前田離れて、片足タックルから逆片エビ狙い。これはうまく行かなかったがアンクルホールド、カレリンがエスケープ!

前田ローキック2発。カレリン払って捕まえると豪快なすくい投げ、横四方に。前田亀になる。カレリン腰をつかむと難なく持ち上げる(右写真)。これが「カレリンズ・リフト」か?カレリンまるでパワーボムのように前田を投げ捨てる。前田立ち上がる。カレリン首投げ、前田脱出してカレリンのリストを取るとヒザ蹴り。カレリンまたすくい投げから上になる。カレリン肩固め風に絞めにかかる。前田耐える。ここでゴング。

2ラウンド。前田ローから入る。カレリン一本背負い、前田スカしてスリーパー。しかしカレリンは前田を背中に乗せたまま立ち上がる(左写真)。ダメだ、コイツには常識が通じない。前田を自分の前に落とすとネックロック。前だロープエスケープ。ポイント同点に・・・・。

前田ローキック打つが、カレリンはどんどん前に出て前田をロープに詰める。崩してグラウンドに。首を取りに行く。前田が腕を前に突き出して首を守る。カレリンその腕を取ってねじ曲げる(右写真)。「関節技」とか「テコの原理」とか関係ないな、こりゃ。ロープ際のためブレークがかかる。前田ローキック3連打、カレリン首投げからネックロック、前田耐え切れずエスケープ。これで逆転。

カレリンどんどん前に出る。前田ヒザ蹴り、カレリンこれをキャッチして後方に投げ捨てる。がぶる(左写真)。残り2分のコール。カレリン前田の腕を取ってハンマーロックに取る。カレリンネックロック、前田逃げてスタンドに。残り1分。前田飛行機投げ、カレリンつぶしてリフトに行くがこれは失敗。カレリンフルネルソン。ここで終了のゴング。

カレリン(5分2ラウンド ポイント差による判定勝ち)前田

両者すぐにリングを降りる。

古田リングアナから「この後、前田選手のインタビューを大型スクリーンでお送りします」のアナウンス。待っていると前田の顔がスクリーンに大映しに(右写真)。試合については「ネルソンだかなんだかで首をやられた。」再戦は「しない。タネ明かしすると、十字靭帯やってから左のキックも左のタックルも出せない。それでもやってきたけど、わかる人にはわかるもんだね。」今後は「いつもの生活に戻る。というかRINGSの、世界のRINGSネットワークをまとめる仕事。足らん頭と人並みの体力でやってくよ。昨日までは『人並みはずれた』って言えたんだけどね、ああいうの見ちゃうと、あれこそが『人並みはずれた』って言うんだろうね。」ファンにメッセージは?「オレはね、いつもファンにメッセージなんかない。ファンは前田をその時で上げたり下げたり。オレはカッコ悪いとこ見せて、反面教師がメッセージかな、あああいつカッコ悪いなって。」格闘家生活を振り返って、「何でも『役割のある世代』というのがあって、自分は格闘技界でその『役割のある世代』として入って来てやってきた。淡い夢があるとすれば、『イチ選手としてやれてたらなあ』というのはある。」「でもさあ、ファーストエスケープは取ったからね、一本勝負ならオレの勝ちや。最後だけ負け惜しみ言わせてくれ。もう、どうにもならんと思ってたからね。」

正確な文章、ニュアンスは雑誌、ビデオ等をどうぞ。



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