マッスルハウス4 2007/5/4 後楽園ホールその2



愛知県対策のためにエースになることが義務付けられた藤岡典一。これを機に実家の安城市に帰省することに。

当然初登場の藤岡父(左写真)。呉服屋さん?

しかし藤岡父は「実際今の仕事の内容もようわからんし、僕が聞きたいくらい。」

「将来どうするつもりか。都会で暮らすのも人生の糧にはなるんだろうが。」と。

藤岡は親にプロレスのことは一切話していなかった。

現在のIMGP王者は李日韓。

父親に見てもらう絶好のチャンス。

藤岡父「スポーツ関係はどうなんだ?子供の頃はサッカーやったりしとったじゃないか。」

今回もしベルトが取れれば父親に報告する、と決意。
「ニュービジネスみたいなもんかね?」

藤岡典一(28)勝負の刻。

王者・李日韓入場(右写真)。

試合開始。藤岡がエルボー連打(左写真)、日韓張り手一発で倒す。

藤岡立ち上がってまたエルボーを連打、日韓は張り手で吹っ飛ばす。藤岡は口から流血。

日韓ボディスラム(左写真)、ストンピング。

日韓バック取るとレッグロック(右写真)、藤岡ロープ。

日韓スリーパー(左写真)、藤岡ロープ。

必死に殴りかかる藤岡(右写真)。

しかし日韓は腕を取ると二丁投げ、藤岡頭から突っ込む(左写真)。

日韓は欧州式エビ固めに(右写真)、カウント2。

日韓ロープに飛ぶ、趙雲が足を引っ張る。文句を言う日韓を藤岡が背後からスクールボーイ(左写真)、カウント3。

藤岡(2分43秒 スクールボーイ)日韓
※藤岡が第3代IMGP王者に

しかしそこに流れたのは「NO CHANCE IN HELL」。

入ってきたのは鶴見亜門と見慣れないスーツ姿の男(右写真)。

亜門「皆さんこんばんは。マッスル総合演出家の鶴見亜門です。本日はゴールデンウィークというのにこのようにたくさんの方にお集まりいただきありがとうございます。」
坂井「亜門さん、入ってくるタイミングおかしくないですか?」
アントン「そうジョルノ!藤岡がベルト取って感動のシーンなのにいきなり入ってきて。空気読めてないですよ!」

すると亜門と男がアントンをロープに振ってダブルのビッグブーツ(右写真)。

そしてダブルのチョークスラム(左写真)。

亜門「ベルトを取ったとか取らないとか名古屋のチケットが売れるとか売れてないとかそういうことは関係ないんだよ。今マッスル史上最大の危機が訪れてんだよ!」
坂井「何のことですか?」
亜門「最近、テレビ番組でねつ造とかやらせとかそういうの流行ってんだろ?」
坂井「いや流行ってるかどうかは知りませんけど。」


亜門「レタス汁を飲むと良く眠れるとか、納豆や味噌汁だけでみるみるやせるとか。ああいうの全部ねつ造らしいぞ。ねつ造・・・ねつ造・・・やらせ・・・あと、なんかの消費量が東京ドーム何杯分だとかああいう数字は何の根拠も無いデタラメらしいよ。デタラメ・・・やらせ・・ねつ造・・・」
アントン「じゃあ、僕が感動したドラマ『1リットルの涙』は?」左写真
亜門「1日の涙の量は2、3ccだからないな。1リットル出せる奴は滅多にいない。」
趙雲「じゃ中国の小説、三国志は?」
亜門「あれも本当に3つあったかは分かんないな。2つだったかもしれないし、4つだったかもしれない。日本では4という数字は縁起が悪いし、3の方が語呂がいいからそうしたんじゃないか?」
坂井「徳川埋蔵金は?」
亜門「あれは日光東照宮の下にホントにあるらしいよ。」
坂井「掘り起こせないんですか?」
亜門「国宝の下だからむやみに掘り起こせないそうだ。」
坂井「フリーメイソンは?」
亜門「俺は実はフリーメイソンだ。」
アントン「えーっ、じゃ僕たちは?」
亜門「オマエらもれっきとしたフリーメイソンだ。」一体何の話だ。
亜門「とにかく、今ほとんどのテレビ番組はねつ造ややらせをやってるというのがここ最近の調査でわかってきてるんです。民放のある・・・ある番組は、あまりのねつ造っぷりに視聴者からクレームが殺到して社内に調査委員会は作られるわ番組が打ち切りになるわ制作会社は倒産するわで大変なことになってるんだぞ、TV業界は。」
アントン「それが僕たちに何の関係があるんですか?」
亜門「ホントにわかっちゃいねぇな。後楽園ホールにお集まりの皆さん、昨今のねつ造ブームがいろんなところに飛び火しまして、このマッスル中継が放送されているスカイパーフェクTV301chファイティングTV・Samurai!にも査察が入ってしまいました。」
坂井「査察って何だよ?」
亜門「だから、Samurai!TVの監督官庁である総務省関東通信局がプロレス格闘技チャンネルでもやらせやねつ造をやってないかと査察に入ったんだよ、1週間前に。で、そのSamurai!の中でも特にねつ造・やらせの疑いがある番組がお前たちがやっているこの『マッスル』なんだよ。」
坂井「あんたが演出っつっていつもやらせてんだろ?」
亜門「いつもお前らが勝手にやってんだろ?俺プロレス全然知らないもん。WCWが潰れてからプロレス一切見てないし。ちなみに五味さん(スーツの男)はプロレスとか見ます?」
五味「はい、女子プロを少々。」
亜門「あ、忘れてた。この方は関東通信局の検査官の五味さん。お役人様。ちなみに俺はSamurai!TVの中に急遽設置されたねつ造調査委員会の委員長に任命されたから。どんどん調査してやるからな。」
アントン「あの・・亜門さん、我々ねつ造なんてやってないですけど、もしねつ造が見つかった場合マッスルはどうなっちゃうんですか?」
亜門「マッスルの中継は打ち切り、その収録である今日のこの興行は中止。今日はもうおしまい!制作会社のDDTテック、NCV、JATA、ビデオパックニッポン、ぜんぶ倒産!」
坂井「週刊プロレスのベースボールマガジン社は?」
亜門「休刊、倒産だな。」
坂井「Kamiproは?」
亜門「あれもマッスル載せてるから無期限休刊。マッスルに関係したところはことごとく倒産なんだよ。」
坂井「ナイガイモバイルは?」
亜門「あれは誰も見てないから。」
坂井「お世話になったところに迷惑かけるってのはマズいっすねえ。」
亜門「そんぐらい今ねつ造ってのは大変なことなんだよ。絶対にねつ造とかやらせはやっちゃいけないことなの。まあ、ねつ造があったかどうかはここにいらっしゃる五味検査官とこの鶴見亜門調査委員長の調査一つにかかってる。調査一つですぐわかっちゃうんだから隠したって無駄だぞ!」

アントン「マッスルなくなって路頭に迷うのは総合演出のアンタじゃねぇのかよ?」
亜門「マッスルが続こうが続かなかろうが今の俺には関係ない。ねつ造一つ見つけるたびに・・・五味さん、いくらでしたっけ?」
五味が指一本上げる(左写真)。
亜門「ねつ造一個見つけるたびに1万円もらえるんだよ。」


アントン「1万円!少なっ!」右写真
亜門「検査官、とりあえず今の所で怪しいとことかありましたでしょうか?」

五味「えー、すでに今の試合でねつ造の疑いがある箇所が何箇所かありました。まず先ほどの試合が決まったシーンをもう一度画面に出していただいてよろしいでしょうか?」左写真

ビジョンに先ほどの選手権のフィニッシュシーンが(右写真)。
五味「あ、この箇所ですね。」
亜門「あー、これおかしいですね。これヤバいっすね。」
坂井「普通に3カウント入ってるじゃないすか。」
亜門「じゃあもう一回見せて。」亜門ストップウォッチ取り出し3カウントの時間を計る。
亜門「ほら、2.25秒。」
五味「ねつ造です。」
亜門「実際の3秒より早かったですよね、日韓さん?」
日韓「ちょっと早かったと思いますね。」

亜門「あー、やっちゃった。打ち切り決定。マッスルねつ造発覚!3カウントは3秒じゃなかった!皆さん、たった今この『マッスル』にあってはならないねつ造の事実が発覚してしまいました。この事実を真摯に受け止めて今後このような間違いが二度と起こらぬよう『ファイティングTV・Samurai!』ではより公正な番組作りを行っていきたいと思います。本日お集まりいただいた皆さんには大変申し訳ないのですが、今日の興行はこれで収録を打ち切らせていただきます。本日はどうもありがとうございました。なお5月12日に予定されていた『マッスルハウス4後楽園大会』の時間枠は『5・5ガッツワールド横浜赤レンガ大会』に差し替えさせていただきます。」

坂井「さっきから聞いてりゃいい気になりやがって!そんなんで会場に集まってくれたお客さんが納得するわけねえだろ!」
亜門「じゃあオマエらはこのままお客さんに嘘をつき続けていいと思ってるのか?正確じゃない3カウント、水増しされた身長・体重、5秒以内だったら許される反則。5秒以内だったら許されるって何だよそれ?じゃあさ、」亜門が拳銃を取り出す。日韓に「拳銃使うのは反則ですか?」日韓「反則です」亜門「柄の部分で殴るのは?」日韓「5秒以内だったら・・・」亜門「こういうのは?」


アントンに「おい手を上げろ!撃つぞ!」アントン手を上げる。亜門「撃たれたくなかったらそこに寝ろ!」アントン寝る。亜門おおいかぶさって「はいフォール!」日韓3つ叩く(左写真)。
亜門「5秒以内だったらこんなことも許されてしまう。他のどのスポーツに5秒間も反則認めてくれるところがありますか?ヤワラちゃんがオリンピックで拳銃出したら失格でしょ?清原がバッターボックスで拳銃構えたら1アウトでしょ?こんな曖昧なルールが何十年もまかり通ってきてるからプロレスはいつまでたってもダメなんだよ!」

坂井「すいませんでした。」
アントン「自分たち、全面的に間違ってました。」
ペドロ「今日から心を入れ替えて頑張ります。」
趙雲「アイヤー・・・(中国語)」亜門「日本語でしゃべれ!」
アントン「国籍ねつ造とかまずいよね。」
坂井「趙雲、いや大吉、この時期嘘をつき続けるのはよくない。一緒に謝ろう。」右写真
坂井が言い出し趙雲が従う。「私は、日本人であるにもかかわらず、国籍を偽り、あたかも中国人であるかのようなふりをして多団体のリングに上がり、微々たる出演料を得続けています。」趙雲泣く。
亜門「がんばったな、大吉。これからは偽りのない自分をリングでさらけだして行くんだぞ。本多、オマエもイタリア人とかハワイ人とかいつまでも偽りの鎧に身を包んでないで、素の本多宗一郎として頑張ってみろよ。坂井、(下腹をつかんで)オマエも全然『マッスル』じゃないよな。お前も素の坂井良宏としてイチから出直して来い。ペドロさん、奥さんと2人のお子さんを大事にしてやってください。」

アントン「宗一郎として頑張っていきます!」
坂井「今日から一所懸命プロレスと向かい合っていきます。」
亜門「これから一緒にプロレスの間違った部分を直していこう。やらせとかねつ造を排除して、プロレスに本来のスポーツとしての素晴らしさを取り戻していこう!幸いまだ始まって30分くらいしかたっていない。これからは俺の仕切りで、あくまでもちゃんとしたスポーツ番組としてマッスルを再出発させよう。五味さん、今からだったら大目に見てくださいますよね?」
五味「今までの30分間はなかったことにしましょう。」
亜門「よし決まった。この際さ、3カウントとか反則とか場外カウントとかそんなわかりにくいルールやめちゃおうよ。全然スポーツライクじゃないよ。オマエらもいつも納得行かないこと多いだろ?結局最後はさぁ、先輩が勝っちゃうんだもん。やっと勝てるようになったかと思うともうやり直しの効かない年齢になってるんだよ。そんなのおかしいよ!」


坂井「確かにぼちぼち後輩に勝てるようになったかと思うともう30。気がついたらやり直しの効かない年齢になっていたということが多々あります。あれ?亜門さん、またなんか後ろにセッティングされてるんですけど?」
亜門「ツムラ工芸さん。バラエティ番組のセットには欠かせない。」
坂井「バラエティ?さっきスポーツ番組って。」
亜門「スポーツ・バラエティ番組。セットのほかにサブ・プロジェクターも設置するから。」
アントン「アンタ一体何やろうとしてんだ!」

亜門「これ見てわかんねえか?TVでやってただろう、ちょっと前に。視聴率50%超のお化け番組といえば?」左写真
アントン「お化け?・・・わからない!」
亜門「KISS&CRYだよ。」
アントン「KISS&CRY?わからない。」
亜門「フィギュアだよ!フィギュアスケートだよ!滑り終わった後、選手が席みたいなとこ座って手振ってさ、外人のコーチとブチュブチュやるじゃない。で得点がイマイチだと女の子が泣くんだよ。それをやっぱりこう外人のコーチが『残念だったねえ、頑張ったよ』って。つまりだ、競技を終えた選手が採点結果発表を待つ場所をKISS&CRYというわけだよ。」
坂井「何に書いてあったんですか?」
亜門「Wikipediaだよ。」
坂井「亜門さんあのう、プロレスとフィギュアは関係ないんじゃないですか?」
亜門「一番視聴率取れるのがフィギュアなんだよ!ねぇ五味さん?」
五味「そうですね。」
亜門「オマエらだって、あんな曖昧なルールで勝ち負け決められたくないだろ?結局専門誌とか新聞だって、チャンピオンか勝った奴しか載せてくれないんだよ。結局モテるのは顔のいいチャンピオンだけ。」
アントン「じゃ、フィギュアルールだったら、勝ち負けだけじゃなくて試合全体を総合的に評価してくれるってわけですか?」
亜門「そりゃフィギュアルールでやれば全部が評価の基準になるからな。ここからは見えないが、この裏に控えている審査員の方々が厳正に審査してくれる。レスリング技術、要素のつなぎ、演技力、振り付け、曲の解釈、このすべての構成点を総合して各試合の順位が決まるというわけだ。」


亜門「ちょっとやってみろ。」
五味さんがコーチ役になって、競技を終えたアントンにキスしようとする。アントンは五味さんにパンチ(左写真)。

再度「KISS&CRY」での喜びのシミュレーション(右写真)。

キスしようとした五味さんにアントンはダスティ(左写真)。アントン「全然わからない。」
坂井「とりあえず、これやったら人気出るんですよね?モテんですよね?」
亜門「あったりまえじゃん。視聴率50%超えてんだぞ?人口の半分が見てるってことだぞ。女性の全員が見てるって可能性もあるわけだ。」
坂井「我々フィギュアルールでやれば、『メールアドレスください!』とか・・・」
亜門「おいおい、食べるなとはいわないが食い散らかすなよぉ?」全員「シュバイ〜ン」


亜門「よし、オマエら早く競技の準備にかかれ!」全員ハケる。
亜門「日韓さんはどうします?」
日韓「私は見てます。」
亜門「わかりました。お待たせしました!只今より『世界フィギュアプロレス選手権2007』を開催いたします!」右写真



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